地球が見える 2004年
浅間山の噴煙のエアロゾル
NASAの地球観測衛星Terraに搭載されたMODISセンサが捉えた観測画像をもとに、火山活動が続いている浅間山から噴出した噴煙のエアロゾルに関する解析を行いました。 図1は、2004年9月16日にMODISが観測したデータからエアロゾルの光学的厚さ(注)を求めたものです。エアロゾルは大気中の小さな浮遊粒子で、森林火災や焼畑による煙のほか、車や工場の排ガス、沙漠から吹く砂塵、海洋上に薄く広がっているものなど、様々な種類があります。 図には日本列島とその周辺が含まれていますが、赤や黄色で示される光学的に厚い(濃度の濃い)エアロゾルが、東京都心部、伊豆半島の北西、日本海の南部に見えています。このうち、伊豆半島の北西の南北方向に伸びている筋が、浅間山の噴煙のエアロゾルです。東京都心部の濃いエアロゾルは工場や自動車からの排煙によるものと考えられますが、MODISの陸上でのエアロゾルの抽出アルゴリズムは、地表が明るいとエアロゾルの光学的厚さが大きめに抽出される傾向があるので、ビルが多く地表が明るい東京都心部では実際よりも大きめの値になっていると考えられます。また、日本海南部のエアロゾルは中国大陸から飛来した工場や車からの排煙のエアロゾルと思われます。なお、画像中央の日本列島の東側の海上のサングリント(太陽光が海面で直接反射してまぶしく見えること)のところや雲のあるところではエアロゾルの抽出ができないので、黒く表されています。画像周辺の観測データのないところも同様です。
図2はMODISで同時に観測した、肉眼で見た場合に近い画像です。この日の関東甲信越地方は霞ヶ浦の周辺を除きよく晴れ上がっていて、画像中央に浅間山から南へ流れる噴煙が白くはっきりと見えています。 (注) エアロゾルの光学的厚さとは、光を散乱・吸収するエアロゾルが大気の柱の中に含まれる総量を示す値で、エアロゾルの粒径、密度(濃度)、屈折率などの特性を反映しています。入射した光が1/e(およそ0.368)にまで減衰する時に1とします。
関連サイト: エアロゾルに関する気象庁のサイト 宇宙から見た浅間山 アラスカまで達していたシベリア森林火災の煙 |