地球が見える 2004年
オーストラリアを襲った熱波
図は、AMSR-E(*2)の観測データから、2004年2月と2003年2月の平均的な地表面付近の気温(*3)の差を推定したものです。暖色系のところは、2004年の方が高く、寒色系のところは2004年の方が低かったことを表しています。オレンジ色と赤色の部分がオーストラリアの南部と東部に分布しており、それらの地方では2004年の2月は前年に比べて3〜6℃以上気温が高かったことがわかります。 オーストラリア気象庁(リンク先: http://www.bom.gov.au/index.shtml )によると、クイーンズランド州、ニュー・サウス・ウェールズ州、ヴィクトリア州北部、南オーストラリア州で熱波や45°Cを越える気温を記録しました。また、地元のニュースによると、ブリスベンの近郊では、およそ20人が熱波のために亡くなったということです。一方、オーストラリア北西部やタスマニア州では平年より涼しかったということです。 なお、図ではクイーンズランド州と南オーストラリア州の州境付近に青い(2004年の方が気温が低かった)地域がありますが、この地域が谷間になっており、2004年2月には降水があったためだと考えられます。 また、オーストラリア西部に局所的に赤く示された部分がありますが、AMSR-Eの観測周波数帯と同じ周波数の地上の電波などが干渉したためにノイズが現れている可能性があります。 (*1) オーストラリア気象庁では、特定の場所で平均気温を上回る日が数日間以上連続することを熱波と定義しています。 (*2) AMSR-Eは地球から放射されるマイクロ波を6つの周波数帯で測定するセンサです。地球から放射されるマイクロ波(ここでは、10 GHz帯の垂直偏波)の放射量が地球表面の温度によって変化することを利用して、オーストラリアの気温を推定しました。 (*3) AMSR-Eから推定されるのは、厳密には地表や地表面近くの大気から放射される放射輝度温度です。これは、地表面付近の気温にほぼ等しくなります。 観測情報 観測衛星:地球観測衛星Aqua (NASA) 観測センサ:改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-E (JAXA) 観測日:2003年2月、2004年2月 関連ページ 「ヨーロッパを襲った熱波」 |