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航空機搭載Lバンド合成開口レーダ(Pi-SAR-L2)による御嶽山の観測

2014年9月27日午前11時53分頃(日本標準時、以下同様)、長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山(おんたけさん)が噴火しました。

宇宙航空研究開発機構 (以下、JAXA) は、2014年9月30日に航空機搭載Lバンド合成開口レーダ(Pi-SAR-L2) ※1 を用い、複数の飛行方向と入射角で合計6回、高度13000mから御嶽山を観測しました。今回注目したのは地獄谷に現れた火孔群です。まず、図1にPi-SAR-L2画像とそれと同じ方向から撮影した航空機写真を示します。山頂から地獄谷にかけた場所を南から見たもので、谷内の構造が把握できます。
御嶽山の画像
図1: 御嶽山の画像(Pi-SAR-L2オルソ画像)
御嶽山の画像
図1: 御嶽山の画像(航空写真)
図2に、今回の解析で用いた観測画像の範囲と飛行方向(観測方向)を示します。また、表1に観測画像の飛行方向と入射角と対応する枠を示します(Pi-SAR-L2は飛行方向左側を観測します)。
図2: 観測範囲 (数値標高データはGTOPO30を使用)
図2: 観測範囲 (数値標高データはGTOPO30を使用)
表1 御嶽山のPi-SAR-L2観測画像リスト
# 飛行方向 入射角(度) 枠の色
a 東→西 45
b 北→南 55 ピンク
c 西→東 45
d 南→北 55
e 東→西 55
f 西→東 55

1)御嶽山山頂画像

御嶽山山頂付近を拡大した画像を図3 に示します。赤にHH偏波、緑にHV偏波、青にVV偏波を割り当ててRGB合成したものです。全体的に緑色ですが、特に山頂付近は紫色がかっています。紫色は主に裸地面、緑色は植生を示しています。
図3: Pi-SAR-L2による御嶽山山頂付近の拡大画像
図3: Pi-SAR-L2による御嶽山山頂付近の拡大画像 (a~fは表1に対応)
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2)火孔拡大図

上記6画像のうち特に、地獄谷火孔深奥部を観測した画像c、fの拡大図を図4に示します。それぞれ45度と55度の入射角で観測しており、どちらの画像でも地獄谷内部に火孔群が確認できます(黄色の枠内)。

図4: 火孔拡大図 左、右ともに、オルソ補正※2 済み
火孔拡大図
cの画像(入射角45度)
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火孔拡大図
fの画像(入射角55度)
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3)飛行機から撮影した写真

図5に、航空機から撮影した写真を示します。御嶽山山頂付近で噴煙のようすを確認できます。

図5: 航空機から撮影した御嶽山山頂
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Youtube動画

使用機器: 航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR-L2)

※1 Pi-SAR-L2について

使用データ: Pi-SAR-L2 データ

解析アルゴリズム: Sigma-SAR 2014

使用したDEM: 国土地理院10m

※2 オルソ補正: 地形情報を用いてSAR特有の画像の倒れ込みを補正する方法。(EORC 「PALSARオルソ補正画像」参照

JAXA EORC