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航空機搭載Lバンド合成開口レーダ2(Pi-SAR-L2)による
小笠原諸島西之島付近の観測結果について

概要

日本時間の2013年11月20日16時ごろ、東京から南に約1000km、小笠原諸島の父島から西に約130kmの位置にある西之島の近海において、直径200m程度の新島が出現し、噴火活動に伴う黒色の噴煙を上げている様子が海上保安庁の観測によって確認されました。これ以降、活発な噴火活動及び複数の火口からの溶岩流によって新島の面積は拡大しており、12月26日9時ごろには西之島と新島が一体化した事が確認されました。2014年1月現在も噴火活動は継続しています。 宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、2014年1月15日に航空機搭載Lバンド合成開口レーダ2(Pi-SAR-L2: Polarimetric and Interferometric Airborne Synthetic Aperture Radar L-band 2)*1により、西之島付近の観測を行い、その後の新島の活動状況を確認しました。

図1:小笠原諸島(父島・母島)及び西之島の位置図
図1: 小笠原諸島(父島・母島)及び西之島の位置図
図2: Pi-SAR-L2により観測された西之島付近の画像
(a) 西側から観測
(a) 西側から観測
 (b) 東側から観測
(b) 東側から観測

図2は、Pi-SAR-L2で観測された西之島付近の2km四方の拡大画像で、(a)は島の西側から観測した画像、(b)は東側から観測した画像を示しています。それぞれ、HH偏波を赤、HV偏波を緑、VV偏波を青色に割り当てカラー合成しています。島の南側部分の緑色に広がっている領域が、今回の噴火活動で出現した新島です。先日発表したコスモスカイメッドの画像(2013年12月31日取得)と比較して、新島が更に大きくなっていることがわかります。南にある新島が北の旧島部より明るい緑に見えるのは、島が生まれたばかりで表面がごつごつしているからと思われます(反射係数が大きい)。

なお、JAXAでは今後も当該地域の観測、データ解析を継続する予定です。

(*1) Pi-SAR-L2:
Pi-SAR-L2は、1996年から2011年に渡って運用されたPi-SAR-Lの改良版であり、分解能や感度を今後打ち上げ予定のALOS-2に対応したものに引き上げた航空機SARです。スラントレンジ分解能は1.76mときわめて高く、水平・垂直偏波を用いて全偏波画像を得ることができるポラリメトリ(Polarimetry)機能を持ちます。

JAXA EORC