画像ライブラリー
陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による『平成21年7月中国・九州北部豪雨』にともなう緊急観測(3)
2009年7月21日から26日にかけて九州北部・山口県で活発な梅雨前線の影響により局地的な豪雨が降り、各地で大雨にともなう災害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(以下, JAXA)では7月23, 27日に引き続き、7月30日午前11時6分(日本時間. 以下同じ)頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)とパンクロマチック立体視センサ(プリズム)によって同時に緊急観測を実施しました。
図1は7月30日に山口県を観測したアブニール・ツーの全体画像です。白く見えるのは雲です。7月23日に確認できた防府市周辺は雲に覆われていますが、山口市周辺を確認することができました。図2は災害後の今日と7月23日、および災害前の今年6月14日(46日前*1)に観測された画像から、中国自動車道の山口インターチェンジ(IC)付近を拡大したものです。災害後の7月30日と災害前の6月14日は、同時観測のアブニール・ツーとプリズムから作成したパンシャープン画像*2で地上分解能は2.5mです。7月23日はアブニール・ツーのみの画像で地上分解能は10mです。いずれの画像もバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており、人の目で見た色に近くなっています。
山肌には多くの土石流の流下跡が茶色い筋として見えており、山口IC付近やICの南側の住宅地に土砂が達している様子が見られます(7月30日画像上黄色丸枠内)。
図3は6月14日に観測されたプリズム3方向視観測画像から作成した標高(地形)データ(数値地表モデル, DSM)に、7月30日に観測されたパンシャープン画像を重ね合わせて作成した山口IC付近の鳥瞰図です。谷沿いに土砂が流れた様子が鮮明に映し出されています。
図4は山口IC付近の災害前後のパンシャープン画像と災害後の画像から抽出した土石流跡と思われる箇所(赤色で表示)の画像が1秒間隔で表示されます。
取得された画像は、内閣府へ提供しました。*1「だいち」の回帰日数(同じ場所に戻ってくるまでの日数)は46日
*2 プリズムとアブニール・ツーから作成されたパンシャープン画像とは、2.5mのものが識別できる能力(地上分解能)を持つプリズムと、10mの地上分解能を有するアブニール・ツーを用いて、擬似的に2.5m地上分解能のカラー画像にしたものです。
JAXA EORC