画像ライブラリー
陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による山口県土砂災害にともなう緊急観測
2009年7月21日に中国地方で活発な梅雨前線の影響により局地的な豪雨が降り、各地で大雨にともなう災害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(以下、 JAXA)では7月23日午前11時16分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)によって現地の緊急観測を実施しました。
図1は7月23日に取得した山口県を観測したアブニール・ツーの全体画像です。白く見えるのは雲です。図2、3は7月23日と災害前の今年6月14日(39日前)に観測されたアブニール・ツー画像から同じ場所を拡大したものです。バンド3, 2, 1を合成したトルーカラー合成画像で表示しており、人の目で見た色に近い色で見えます。
図2は防府市下右田地区付近を拡大したものです。7月23日の画像上に黄色丸で示した辺りは土石流が流れ込んだ国道262号線の付近です。災害前と比べると、茶色く濁った水が街中に広がっている様子が見られます。また、山肌には多くの土石流の流下跡が茶色い筋として見えており、ダム湖も茶色く濁っていることが分かります。
図3は防府市真尾地区付近を拡大したものです。7月23日の画像上に黄色丸で示した真尾地区は、豪雨にともなう土石流によって大きな被害を受けた老人ホームの辺りです。また、左側の黄色丸で示したところにも大きな茶色い筋が見え、民家まで土砂が達している様子がうかがえます。さらに、西側の斜面でも土石流跡と思われる茶色い筋が多く見受けられます。
図4は山口市、防府市付近を拡大した画像です。災害前後のアブニール・ツー画像と災害後の画像から抽出した土石流跡と思われる箇所(赤色で表示)の画像が1秒間隔で表示されます。災害前後の比較から多くの谷筋が茶色くなっている様子を見ることができ、土石流や土砂崩れが各所で発生したことが分かります。
取得された画像は、内閣府へ提供しました。
JAXA EORC