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日本域高解像度土地利用土地被覆図【2018~2020年】
(2021年11月リリース / バージョン21.11) 

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高解像度土地利用土地被覆図(日本域)ver.21.11に欠損が含まれるタイル(N20E136、N35E138、N36E140)があったため、2022年4月1日に更新しました。これ以前にダウンロードされた方は、お手数ですが再ダウンロードをお願いします。なお、この修正ではバージョン番号は変更いたしません(ver.21.11のままです)。

1. 概要

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 地球観測研究センター (EORC) は, 人工衛星で観測されたデータを活用して, 地域や国レベルを対象とした高解像度の土地被覆分類図を作成しています。これらは生態系評価(動植物の生育・生息域, 各種生態系サービス), 資源管理(農林水産業, 景観等), 災害対策(洪水・土砂災害等)等, 地域・国土の保全の基盤情報としてご活用頂くことを目的としています。

2021年3月には, 日本全域の最新状況(2019年~2020年時点)を反映した日本域高解像度土地被覆図バージョン21.03(以下v21.03)をリリースしました。v21.03では欧州のSentinel-2衛星および米国のLandsat-8衛星(いずれも光学センサ), そして日本のALOS-2衛星(合成開口レーダPALSAR-2)のデータを使いました。分類カテゴリは, ソーラーパネルと竹林という, 近年急速に広がりつつある2つのカテゴリを新設し, 12カテゴリとしました。

今回, 2021年11月にリリースするv21.11は, このv21.03のマイナーバージョンアップです。使用した衛星データはv21.03と同じですが, 教師データの品質改善と, 分類手法の改良を実施し, 一部の離島域を除くほぼ全域を再処理しました。すなわち, v21.03ではカーネル密度推定によるアルゴリズムと畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によるアルゴリズムを組み合わせていましたが, v21.11では後者に一本化しました。これは通常の画像CNNとは異なり, マルチスペクトル・時系列特徴空間でのパターン認識に特化したアルゴリズムであり, 前分類器の名称を踏襲してSACLASS2としました。

今後は現在運用中の地球環境変動観測衛星 (GCOM-C) や, 2021年度打ち上げ予定の先進光学衛星(ALOS-3), 2022年度打上げ予定の先進レーダ衛星(ALOS-4)の活用することも視野に入れ, さらなる改善に取り組んでいこうと考えております。


v21.03およびv21.11では, 以前のバージョンと比べて, 主に以下の点で更新されています(カッコ内はそれを施したバージョン)。

  • Sentinel-2のデータを入力に追加(v21.03)
  • ALOS-2/PALSAR-2の多偏波(6m; HH/HV/VH/VV)および高解像度(3m; HH)データを入力に追加(v21.03)
  • Sentinel-2のデータを4時期に分けて, 各時期の中央値画像として統合することで季節性の表現を両立(v21.03)
  • Sentinel-2の各バンドの反射率だけでなく各種植生指標(NDVI, GRVI, NDWI, GSI)を特徴空間に追加(v21.03)
  • ALOS PRISM Digital Surface Model (AW3D) DSMの標高情報, 緯度経度情報を特徴空間として追加(v21.03)
  • 教師点・検証点データを全数目視検査・選別(v21.03)
  • 教師点データを全数目視再検査・再選別(v21.11)
  • 分類アルゴリズムの更新(SACLASS2)(v21.11)

この結果, 全体精度は前々バージョン(v18.03)の81.6%, 前バージョン(v21.03)の84.69%に対し, 本バージョン(v21.11)は88.85%に上昇しました。特に, v21.03に比べて全体的にノイズが減少し, ソーラーパネルや竹林, 海岸線の判別が改善しました。

これに伴い, JAXA/EORCとしては, ユーザーの皆様にはv21.03ではなくv21.11のご利用を推奨します。ただし,v21.03のデータは既にご使用されているユーザのために継続して提供します。

2. 使用したデータ

  • データ1. Sentinel-2 Level-1C (L1C) Google Earth Engine APIより取得。
  • データ2. ALOS-2/PALSAR-2 (HBQ, UBS)
  • データ3. 教師情報 (SACLAJデータベースより。地上踏査およびインターネット上の情報判読) 約25,000地点
  • データ4. ALOS PRISM Digital Surface Model (AW3D)
  • データ5. DSMから求めた傾斜のラスターマップ
  • データ6. 環境省生物多様性センター 植生調査(1/2.5万) 都道府県別一覧の中から, 竹林の植生情報(教師情報取得時の参考として使用)
  • データ7. Electrical Japan(太陽光発電所データベース)の太陽光発電所情報(太陽電池パネルの教師情報取得時の参考として使用)
  • データ8. 国土地理院 基盤地図情報海岸線
  • データ9. オープンストリートマップによる道路網ベクターデータ(道路からの距離のラスターマップの作成に使用) © OpenStreetMap contributors

3. 分類方法

v21.11で採用された分類方法を以下に示します。v21.03に比べ処理フローが大幅に簡略化されました。なお, 一部の離島域はデータ不十分故に改善の確証がなかったため, v21.11では更新せず, かわりにv21.03をそのまま流用しました(該当箇所は図1にて後述します)。

3.1 前処理

  • 斜面補正(C-Correction)
  • Sentinel-2 L1Cについて 雲マスク処理, 3ヶ月期間中央値コンポジット, 植生指標計算
  • 特徴空間の構築: Sentinel-2 L1C バンドB2, B3, B4, B5, B6, B7, B8, B8a, B11, B12; NDVI, GRVI, NDWI, GSI; PALSAR-2 HBQ, UBS; 補助データ(AW3D DSM, 緯度経度情報)の時系列データ

3.2 分類

  • SACLASS2による上記入力データを使用した分類。マルチスペクトル・時系列特徴空間でのパターン認識に特化した畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アルゴリズム。

3.3 後処理

  • 標高値・傾斜度によるフィルタの適用。
  • ガウシアンフィルタの適用。
  • 道路からの距離のラスターマップによるフィルタの適用。
  • 再処理対象にならなかった離島域について, v21.03を流用し結合。
  • 目視検品による異常値修正。

4. データ形式

対象期間 2018年~2020年。この期間の特定時点ではなく, 平均的な状況を表します。
座標系 等緯度経度座標系 (WGS84)
格納単位 緯度経度1度単位のグリッドタイル, 12,000ピクセル×12,000ライン
メッシュサイズ (1/12,000)度 × (1/12,000)度 (およそ10m x 10mに相当)
(別途, リサンプリングによる低解像度版も提供しています。)
ファイル命名規約 LC_N45E142.tif
(上記の場合北緯45から46度, 東経142から143度の範囲を指します。)
格納形式 GeoTIFF形式

各画素のディジタル値は分類カテゴリのID番号であり, 下記の通りです:

  • #1: 水域 (Water bodies)
  • #2: 人工構造物 (Built-up)
  • #3: 水田 (Paddy field)
  • #4: 畑地 (Cropland)
  • #5: 草地 (Grassland)
  • #6: 落葉広葉樹 (DBF)
  • #7: 落葉針葉樹 (DNF)
  • #8: 常緑広葉樹 (EBF)
  • #9: 常緑針葉樹 (ENF)
  • #10: 裸地 (Bare)
  • #11: 竹林 (Bamboo forest)
  • #12: ソーラパネル (Solar panel)

5. 精度検証

SACLAJデータベースより, 教師情報とは独立の2,502箇所の検証情報を用いて, 本データ (v21.11) の精度検証を行った結果, 12カテゴリで全体精度88.85%, κ係数0.878を得ました (表1; 注1)。精度検証については, 検証点がランダムサンプリングでない理由等で誤差が生じることをご留意ください。

表1 コンフュージョンマトリクス(v21.11)

表1 コンフュージョンマトリクス(v21.11)

注1: 一部の離島を除く評価です(該当箇所は図1に記載)。


参考情報として, 前バージョン(v21.03)と前々バージョン(v18.03)の精度検証結果を掲載します(表2; 注2, 表3; 注3)。


表2 コンフュージョンマトリクス(v21.03)

表2 コンフュージョンマトリクス(v21.03)

注2: 一部の離島を除く評価です(該当箇所は図1に記載)。


表3 コンフュージョンマトリクス(v18.03)

表3 コンフュージョンマトリクス(v18.03)

    注3: v18.03公開時点の精度検証結果を引用しています。


図1に高解像度土地被覆図v21.11の全域図, 図2にv21.11とv21.03の比較例, 図3~5に過去の結果(v16.09, v18.03)との比較例を示します。



図1:日本全域の高解像度土地利用土地被覆図(v21.11)。
図1:日本全域の高解像度土地利用土地被覆図(v21.11)。赤枠はv21.11では更新せず, v21.03を流用した部分(離島部)
図2:v21.03(左)とv21.11(右)の比較例: 岡山県美作市の大規模メガソーラー。
図2:v21.03(左)とv21.11(右)の比較例: 岡山県美作市の大規模メガソーラー。 ともに2018~2020年観測の結果ですが, ソーラーパネルがv21.03では都市域と誤判別されていたところが, 21.11では正しく分類されたことがわかります。
図3:八ッ場ダム周辺の土地被覆の変化(群馬県吾妻郡長野原町)。
図3:八ッ場ダム周辺の土地被覆の変化(群馬県吾妻郡長野原町)。左: v16.09 (AVNIR-2使用; 2006~2011年観測), 中央: v18.03 (Landsat-8使用; 2014~2016年観測), 右: v21.11 (2018~2020年観測)。ダムに入水され運用が開始された様子がv21.11でわかります。
図4:草地からソーラーパネルへの土地被覆の変化(福島県二本松市)。
図4:草地からソーラーパネルへの土地被覆の変化(福島県二本松市)。左: v16.09 (AVNIR-2使用/2006~2011年観測), 中央: v18.03 (Landsat-8使用; 2014~2016年観測), 右: v21.11 (2018~2020年観測)。草地(ゴルフ場等)から大型の太陽光発電所に変化したことがわかります。
図5:福島県沿岸部の震災前後の土地被覆の経年変化(福島県南相馬市)。
図5:福島県沿岸部の震災前後の土地被覆の経年変化(福島県南相馬市)。左: v16.09(AVNIR-2使用; 2006~2011年観測), 中央: v18.03 (Landsat-8使用; 2014~2016年観測), 右: v21.11 (2018~2020年観測)。震災前では水田だった箇所が, 震災後草地となり, その後, ソーラーパネルや都市(人工構造物)に変化した様子がわかります。

※一部の離島域はv21.03から更新がありません。対象域については図1を参照ください。
v21.03の詳細についてはこちらをご参照下さい。

6. 参考文献

  • 小林健一郎,奈佐原顕郎,田殿武雄,大串文美,道津正徳,段理紗子 (2016) 多時期土地被覆情報データセット“SACLAJ”の開発,日本リモートセンシング学会第61回学術講演会論文集,pp.89-90.
  • Teillet, P.M. et al. (1982) On the slope-aspect correction of multispectral scanner data, Can. J. Remote Sensing 8 , 84-106.
  • 平山颯太, 田殿武雄, 水上陽誠(2020) ALOS-3に向けた深層学習を用いた多時期光学画像による土地被覆分類, 日本リモートセンシング学会第69回学術講演会論文集, 85-86.
  • 平山颯太, 田殿武雄, 大木真人, 水上陽誠, 奈佐原(西田) 顕郎, 今村功一, 平出尚義, 大串文美, 道津正徳, 山之口勤 (2022): JAXA高解像度土地利用土地被覆図日本域21.11版 (HRLULC-Japan v21.11) の作成. 日本リモートセンシング学会誌, 42(3), 199-216