データセット

以下のデータについては, 改良・改善されたもの(最新バージョン)が後に別途リリースされておりますので、ユーザーの皆様には, 以下のデータ(旧バージョン)のご利用は推奨いたしません。しかしながら、既になされた研究等の遡及・再検証などでこれらが必要になる方もおられると考えますので、このページで引き続きご提供します。最新バージョンはこちら

日本域高解像度土地利用土地被覆図【2018~2020年】
(2021年3月リリース / バージョン21.03) 

ファイルのダウンロード方法

データのダウンロードにはユーザ登録が必要です。ダウンロードおよびユーザ登録の詳細についてはコチラ

1. 概要

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 地球観測研究センター (EORC) では、人工衛星で観測されたデータを活用して、地域や国レベルを対象とした高解像度の土地被覆分類図を作成しています。これらは、生態系評価(動植物の分布・生息域、各種生態系サービス)、資源管理(農林水産業、景観等)、災害対策(洪水・土砂災害等)などといった、地域・国土の保全のための様々なアプリケーションの基盤情報として活用頂くことを目的としています。

このたび、日本全域(一部の離島を除く)の最新の状況(2018年~2020年時点)を反映した日本域高解像度土地被覆図バージョン21.03(v21.03)(以下「本プロダクト」)を作成・リリースしました。光学センサ搭載衛星の欧州Sentinel-2および米国Landsat-8、そして日本の合成開口レーダ(SAR)搭載衛星であるALOS-2(PALSAR-2)のデータを組み合わせて使用することで、分類精度の向上を目指しました。分類カテゴリは、近年急速に広がりつつあるソーラパネルと竹林の2つのカテゴリを新設し、合計12カテゴリとしました。本プロダクトをベースとして、現在運用中の地球環境変動観測衛星 (GCOM-C) や、2023年度打上げ予定の先進レーダ衛星(ALOS-4)を今後活用することも視野に入れております。

本プロダクト(v21.03)の作成手法は、前バージョン(v18.03)と比べて、主に以下の点で大きな追加・変更・改善が施されています。

  • Sentinel-2のデータを入力に追加
  • ALOS-2/PALSAR-2の多偏波(6m:HH/HV/VH/VV)および高解像度(3m:HH)データを入力に追加
  • Sentinel-2、Landsat-8のデータを4時期に分けて、各時期の中央値画像を統合することで季節性を表現
  • 光学センサ画像の各バンドの反射率だけでなく各種指標(NDVI/GRVI/NDWI/GSI)を特徴空間として追加
  • Landsat-8のデータをパンシャープン処理することで空間解像度を改善
  • 従来のカーネル密度推定(SACLASS)による分類に加えて、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による分類(Sentinel-2データのみ)後、統合を実施
  • 教師データ及び検証データを全数目視検査・選別し、それらの品質を向上
その結果、コンフュージョンマトリクスによる全体精度は84.8%でした。

2. 使用したデータ

  • データ1. Sentinel-2 Level-1C (L1C) (*1)
  • データ2. PALSAR-2 (HBQ, UBS)
  • データ3. Landsat-8 OLI (Collection-1) (*1)
  • データ4. 教師情報 (SACLAJデータベースより。地上踏査およびインターネット上の情報判読) 約30,000地点
  • データ5. ALOS PRISM Digital Surface Model (AW3D)
  • データ6. DSMから求めた傾斜のラスターマップ
  • データ7. 竹林の植生情報 (*2)
  • データ8. 太陽光発電所情報 (*3)
  • データ9. 基盤地図情報海岸線情報 (*4)
  • データ10. Suomi NPP 夜間光データ (*5)
  • データ11. オープンストリートマップによる道路網ベクターデータから求めた、道路からの距離のラスターマップ (*6)
  • データ12. 北海道市町村ごとの水稲作付の有無情報 (*7)

Acknowledgements

  • *1 Google Earth Engine API
  • *2 環境省生物多様性センター(植生調査(1/2.5万) 都道府県別一覧)
  • *3 Electrical Japan(太陽光発電所データベース)
  • *4 国土地理院(基盤地図情報海岸線)
  • *5 Suomi NPP VIIRS Daily Mosaic Image and Data processing by NOAA's National Geophysical Data Center.
  • *6 OpenStreetMap © OpenStreetMap contributors
  • *7 Hokkaido Government Opendata

3. 分類方法

3.1 前処理

  • 雲マスク
  • 斜面補正 (C-Correction)
  • 特徴空間 (NDVI/GRVI/NDWI/GSI)の追加
  • Landsat-8のパンシャープン処理
NDVI: Normalized Difference Vegetation Index, GRVI: Green and Red ratio Vegetation Index, NDWI: Normalized Difference Water Index, GSI: Grain Size Index

3.2 分類

  • SACLASS(カーネル密度による尤度推定)によるSentinel-2 L1Cを使用した分類
  • SACLASSによるLandsat-8 OLIを使用した分類(Sentinel-2 L1Cのない場所のみ)
  • SACLASSによるPALSAR-2 HBQを使用した分類
  • SACLASSによるPALSAR-2 UBSを使用した分類
  • CNNによるSentinel-2 L1Cを使用した分類

3.3 統合

  • 3.2の分類結果を統合

3.4 後処理

  • 山影補正(DSMを用いた観測時の地形性の日影の分布推定)
  • データ4/5/6/10/11/12の事前確率推定マップの適用

4. データ形式

座標系 緯度経度直交座標系 (WGS84楕円体、世界測地系1984(WGS84))
格納単位 緯度経度1度単位のグリッドタイル、11,132ピクセル×11,132ライン
メッシュサイズ (1/11,132) 度 × (1/11,132) 度 (およそ10m × 10mに相当)
ファイル命名規約 LC_N45E142.tif
(上記の場合北緯45から46度、東経142から143度の範囲を指します。)
格納形式 GeoTIFF形式
対象期間 2018年~2020年。この期間の特定時点ではなく、平均的な状況を表します。

各画素のディジタル値は分類カテゴリのID番号であり、下記の通りです:

  • #0: 未分類 (Unclassified)
  • #1: 水域 (Water bodies)
  • #2: 人工構造物 (Built-up)
  • #3: 水田 (Paddy field)
  • #4: 畑地 (Cropland)
  • #5: 草地 (Grassland)
  • #6: 落葉広葉樹 (DBF)
  • #7: 落葉針葉樹 (DNF)
  • #8: 常緑広葉樹 (EBF)
  • #9: 常緑針葉樹 (ENF)
  • #10: 裸地 (Bare)
  • #11: 竹林 (Bamboo forest)
  • #12: ソーラパネル (Solar panel)
  • #255: データなし (No data)

5. 精度検証および結果

SACLAJデータベースより、教師情報とは独立の約2,700箇所の検証情報を用いて、本データ (v21.03) の精度検証を行った結果、12カテゴリで全体精度84.8%、κ係数0.83を得ました (表1; 注1)。
表1 コンフュージョンマトリクス (v21.03)
  Validation User's
accuracy (%)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 TOTAL
Classified 1 250 0 0 2 0 0 6 0 0 5 0 0 263 95.1
2 0 243 1 5 0 0 1 0 0 29 1 52 332 73.2
3 0 0 240 29 7 0 0 0 0 0 0 0 276 87.0
4 0 1 5 168 12 1 1 0 0 4 0 6 198 84.8
5 0 0 1 28 218 0 2 2 0 6 1 0 258 84.5
6 0 0 0 1 3 185 29 4 1 0 3 0 226 81.9
7 0 0 0 0 1 6 162 0 0 1 0 0 170 95.3
8 0 0 0 1 0 2 2 158 12 0 31 1 207 76.3
9 0 0 0 0 0 11 8 22 216 0 13 0 270 80.0
10 4 9 0 4 0 1 0 0 0 193 0 3 214 90.2
11 0 0 0 1 0 4 0 15 1 0 115 0 136 84.6
12 0 5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 122 127 96.1
TOTAL 254 258 247 239 241 210 211 201 230 238 164 184 2,677 ---
Producer's
accuracy (%)
98.4 94.2 97.2 70.3 90.5 88.1 76.8 78.6 93.9 81.1 70.1 66.3 --- Overall accuracy:
84.8%

参考情報として、前バージョン(v18.03)の精度検証結果を掲載します(表2; 注1)

表2 コンフュージョンマトリクス (v18.03)
  Validation User's
accuracy (%)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 TOTAL
Classified 1 276 1 1 0 0 0 0 1 3 0 282 97.9
2 3 247 2 7 1 0 0 0 0 35 295 83.7
3 0 5 284 5 1 1 1 0 0 1 298 95.3
4 1 3 31 218 26 4 3 1 1 6 294 74.1
5 0 2 6 14 240 14 0 8 0 5 289 83.0
6 0 0 0 0 9 236 29 13 11 0 298 79.2
7 0 0 0 1 4 24 252 4 14 0 299 78.6
8 0 1 0 1 2 15 7 207 49 0 282 73.4
9 0 0 0 0 1 6 4 24 264 0 299 88.3
10 15 43 6 14 23 8 3 6 7 161 286 56.3
TOTAL 295 302 330 260 307 308 299 264 349 208 2,922 ---
Producer's
accuracy (%)
93.6 81.8 86.1 83.8 78.2 76.6 84.3 78.4 75.6 77.4 --- Overall accuracy:
81.6%
注1: 精度検証については、検証点がランダムサンプリングでない理由等で誤差が生じることをご留意ください。

図1~図4に高解像度土地被覆図v21.03の例を示します。

図1: 日本全域の高解像度土地利用土地被覆図 (Ver.21.03)
図1: 日本全域の高解像度土地利用土地被覆図 (Ver.21.03)
図1: 日本全域の高解像度土地利用土地被覆図 (Ver.21.03)
図2: 八ッ場ダム運用開始までの土地被覆の変化(群馬県吾妻郡長野原町)

左図:v16.09(AVNIR-2使用/2006~2011年観測)

中央図:v18.03(Landsat-8使用/2014~2016年観測)

右図:v21.03(Sentinel-2/Landsat-8/PALSAR-2使用/2018~2020年観測)

最新のv21.03ではダムに湛水され運用開始された様子がわかります。

図3: 草地からソーラパネルへの土地被覆の変化(福島県二本松市)
図3: 草地からソーラパネルへの土地被覆の変化(福島県二本松市)

左図:v16.09(AVNIR-2使用/2006~2011年観測)

中央図:v18.03(Landsat-8使用/2014~2016年観測)

右図:v21.03(Sentinel-2/Landsat-8/PALSAR-2使用/2018~2020年観測)

草地(ゴルフ場等)から大型の太陽光発電所に変化していることがわかります。

図4: 福島県沿岸部の震災前後の土地被覆の経年変化(福島県南相馬市)
図4: 福島県沿岸部の震災前後の土地被覆の経年変化(福島県南相馬市)

左図:v16.09(AVNIR-2使用/2006~2011年観測)

中央図:v18.03(Landsat-8使用/2014~2016年観測)

右図:v21.03(Sentinel-2/Landsat-8/PALSAR-2使用/2018~2020年観測)

震災前では水田だった箇所が、震災後草地となり、その後都市計画が推進され ソーラパネル、都市に経年変化している様子がわかります。

6. 参考文献

  • 橋本秀太郎, 田殿武雄, 小野里雅彦, 堀雅裕 (2014) 多時期光学観測データを用いた高精度土地被覆分類手法の開発, 日本リモートセンシング学会誌, 34 (2), pp.102-112.
  • 小林健一郎,奈佐原顕郎,田殿武雄,大串文美,道津正徳,段理紗子 (2016) 多時期土地被覆情報データセット“SACLAJ”の開発,日本リモートセンシング学会第61回学術講演会論文集,pp.89-90.
  • 片木仁・奈佐原顕郎・小林健一郎・道津正徳・田殿武雄 (2018) 多時期光学観測画像を用いた高解像度土地利用・土地被覆図における,山影処理による誤分類の低減, 日本リモートセンシング学会誌, 38(1), 30-34.
  • Teillet, P.M. et al. (1982) On the slope-aspect correction of multispectral scanner data, Can. J. Remote Sensing 8 , 84-106.