ALOS-2(だいち2号)搭載のPALSAR-2は、電波を地表面に照射し、地表面から反射される電波を受信することで情報を得る、合成開口レーダ(SAR)と呼ばれるセンサです。SARは太陽などの発光源に依存しないため、昼夜を問わず観測できるのが特長です。また、PALSAR-2が送受信するLバンドと呼ばれるマイクロ波帯(1.2GHz帯)の電波は雲や雨の影響を受けにくく、天候によらず観測できるため災害などの迅速な観測に適しています。さらに、Lバンドのマイクロ波は、透過性が高いことから電波が植生を透過して一部が地面まで届くため、植生や地表についての情報も得られます。
日本のLバンドSARは、1992年に打上げられたJERS-1(ふよう1号)に始まり、2006年に打上げられたALOS(だいち)搭載のPALSARを経て、2014年に打上げられたALOS-2(だいち2号)のPALSAR-2に至ります。PALSAR-2は、これまでの衛星のLバンドSARと比べ、送信電力の強化、使用する周波数帯域の拡大、2つの独立したビームで受信を行うデュアルビーム方式、複数の種類の信号を送信するチャープ変調などの新しい技術の採用により、高い分解能、広い観測幅、高い視認性を達成した、世界に類を見ない高性能のセンサとなっています。
PALSAR-2では、新たな観測モード(スポットライトモード)が追加され、最高で1m×3m(アジマス方向×レンジ方向)の分解能を達成します。分解能約10m のALOS/PALSARと比べて詳細な形状が判別できるPALSAR-2のデータをユーザに提供することで、災害の被害状況等をより詳しく把握することが可能になります。また、ALOS-2では、ALOSにはない左右観測機能を持たせることなどにより観測可能領域が3倍弱程度まで拡大(870km→2,320km)し、観測頻度の向上に寄与しています。
観測モード | スポットライト | 高分解能 | 広域観測 | |||||||
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3m | 6m | 10m | Normal | Wide | ||||||
帯域幅 (MHz) | 84 | 84 | 42 | 28 | 14 | 28 | 14 | |||
分解能 (m) | 3×1 (Rg×Az) |
3 | 6 | 10 | 100 (3 looks) |
60 | ||||
入射角 (deg.) | 8 - 70 | 8 - 70 | 8 - 70 | 20 - 40 | 8 - 70 | 23.7 | 8 - 70 | 8 - 70 | ||
観測幅 (km) | 25×25 (Rg×Az) |
50 | 50 | 40 | 70 | 30 | 350 (5 scans) |
490 (7 scans) |
||
偏波∗ | SP | SP/DP | SP/DP/CP | FP | SP/DP/CP | FP | SP/DP | SP/DP | ||
NESZ (dB) | -24 | -24 | -28 | -25 | -26 | -23 | -26 | -23 | -26 | |
S/A (dB) |
Rg | 25 | 25 | 23 | 23 | 25 | 20 | 25 | 25 | 20 |
Az | 20 | 25 | 20 | 20 | 23 | 20 | 20 |
PALSAR-2観測モード