NASA散乱計(NSCAT)NASA供給 |
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観測の概念
NASA散乱計(NSCAT)は海域の風速と風向きを観測するマイクロ波レーダーで、Kuバンド帯のパルス電波(13.995GHz)を海上に照射し、その反射波である後方散乱波を測定します。後方散乱電力は、海上の波によって変化します。
そのため、これまでの研究をもとにしたアルゴリズムを使用し風速及び風向を同時に、また多角的に観測することができます。
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NASA散乱計(NSCAT) ビーム照射パターン図 上記の図で示した通り、NSCATは衛星の進行方向両側の海上で、異なる3つの方向 からの後方散乱電力を同時受信することで、風速と風向きを測定します。アンテナは棒状のファンビーム アンテナで、ビーム照射方向のビーム幅は28度です。後方散乱波の周波数はドップラー効果によって変位します。
ミッション計画
地表の約70%は覆う海洋は、地球最大の貯蔵庫であり、様々な熱源や温暖化ガスを含んでいます。海上風は、数日から数年規模に及ぶ海の変化と相関があり、天候や環境の変化に大きな影響を与えます。船やブイを使用したこれまでの海上風観測は、範囲/期間ともに制限がありましたが、NSCATでは広い瞬間視野と頻繁な観測が可能になります。観測データは数値天気予報や海洋循環モデルの改良、さらに海洋上層での熱均衡及びエル・ニーニョといった現象をより深く理解することに役立ちます。センサの構成/動作
NSCATはRFサブシステム、アンテナサブシステム及びデジタルサブシステムから構成されます。下図は打上げ時の構成です。
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ANT: Antenna
ADA: Antenna Deployment Assembly
DIU: DC to DC Converter Interface UnitDSS:Digital Subsystem
LRA: Launch Restraint Assembly
REU: Radio Frequency Electronic UnitLaunch Configuration RFサブシステムにある進行波管増幅器(TWTA)からでた、周波数13.995GHz、幅5m/秒、繰り返し周波数約62Hzのレーダーパルスは、スイッチマトリックスを通りそれぞれのアンテナへ送られます。受信信号はベースバンド周波数に変換された後、デジタルサブシステムへ送られます。
アンテナサブシステムは6本の独立したファンビームアンテナで構成されています。(二本組のアンテナ二式と、単独のアンテナ二式) 更に、各アンテナは2本のスロット導波管アレーアンテナ(1本は垂直偏波、他の1本は水平偏波) により構成されますが、4本のアンテナは1種類のみの偏波を用い、2本のみが両方の偏波を用います。 アンテナは、打上げ後に展開されます。
後方散乱電力はドップラーシフトによって周波数が変わりますが、デジタルサブシステム内でデジタルドップラープロセッサによる処理後、バス・モジュールへ伝送されます。
地球観測データ解析研究センター