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地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)NASA散乱計(NSCAT)の初画像


1996年(平成8年)10月4日

 海上風の初画像は地球観測衛星「みどり」(ADEOS)に搭載されたNASAの散乱計(NSCAT)で9月20日に取得されたもので、太平洋の北西部に2つの台風を見ることができます。

台風17号(米国名:バイオレット)は日本沿岸に達し、数人が死亡し建造物等に被害を与えました。台風18号(米国名:トム)は日本の東岸外洋で観測された。この散乱計により測定された暴風は60マイル/h程度(約97km/h)であります。

 「我々はこれら初画像の品質にとても満足している」と、カリフォルニア、パサデナにあるNASAジェット推進研究所(JPL)のNSCATプロジェクト・マネージャーのジム・グラフ氏は述べました。
 「これらの画像は典型的な処理データであり、NSCATデータは世界中の気象学者等により利用されます。NSCATは宇宙から海洋表面の風速の測定を行うもので、台風17号のような嵐の気象予報に利用されます。さらに、地球科学研究者たちは地球上で発生する気候変動をより理解するためにNSCATデータを利用するでしょう。」

 散乱計は1日につき190,000サンプルの風の情報を取得し、2日間で氷に覆われていない全海域の90%を観測します。このセンサは船舶から得られているデータの100倍以上の海上の風情報量を与えることができます。それは、この散乱計は、レーダセンサであり、昼夜、日射若しくは気象状況に関係なく取得できるからです。

 「NSCATデータの初の速報的解析により、NSCATが高分解能であることから、台風の解明にも役立つことが実証されました。また、繰り返し観測することによって従来十分に観測できなかった全球の海上の大気循環の解明についても、また、大気−海洋の相互作用の解明についても深く理解することができます。」と、W.ティモシー・リウ博士(JPLのNSCATプロジェクト科学者)は述べました。

 散乱計によるデータは気象庁やNOAA(米国海洋大気庁)等の世界中の気象サービス機関により利用されます。測定された海上風は、数値計算モデルにより利用され、気象予報、ハリケーンの強さや進路予測及び気候システムにより利用されます。また、海況予測としても利用ができます。

 みどり(ADEOS)は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の国際的な地球環境変動ミッションの1つであり、その観測データはセンサを開発した日本、米国、仏国や他の多くの国々の研究者に利用されます。この衛星はNASAの「惑星地球ミッション(MTPE)」を含む国際的な環境研究の重要な要素です。MTPEの目標は、自然、人類が作り出した環境変化、その影響を区別するため、より深く自然環境変化を理解することです。

 MTPE−関連データは、NASAから世界中の研究者へ配布し地球環境について人類を救うためのより多くの正確な情報を提供します。
 NSCATデータは、NASAと宇宙航空研究開発機構により提供されます。

 NSCATはワシントンD.C.にあるNASAのオフィス「地球惑星ミッション」のためにJPLが開発、製作及び管理したものです。


NSCAT初画像の解説文

<画像1>

 これら4つの画像はNASA散乱計によって測定された風向、風速を連続で表したものです。
 連続写真は平成8年9月20日、21日の2日間12時間毎に表したものです。
 背景色は風速を示し、青、赤、黄色にかけて風が強くなります。
 白矢印は風の向きを示します。
 4つの画像は台風17号(米国名:バイオレット)と台風18号(米国名:トム)で黄色−橙の渦巻き状の特色が見られます。
 台風17号は日本へ接近し、陸近くへ移動したものを2日間で観測しました。
 台風18号は日本から離れ外洋(日本東方)に移動しています。



<画像2>

 この画像は平成8年9月21日太平洋の海上風速と風向を示します。
 背景色は風速を示し、青、赤、黄色にかけて風が強くなります。  白矢印は風の向きを示します。
 画像上の左の日本近くに黄色−橙の渦巻き状のものは台風17号と台風18号です。
 台風18号は日本東方の外洋にあります。
 台風17号は日本のちょうど南にあります。
 この台風17号は日本の東岸を直撃し、大きな被害を及ぼしました。
 とても強く活発な台風は南半球に橙で示されいます。
 赤道付近の右から左にかけて貿易風が示されています。
 NSCATは宇宙から海上の風速及び風向の測定を連続して測定することができます。


<画像3>

 この地図は、全世界の海上の風速の3日平均を示します。
 この観測データは平成8年9月20日から22日にかけて取得したものです。
 色は風速を示し、青、黄色、赤にかけて風が強くなります。
台風17号と18号は日本近くに黄色−橙の渦巻き状のものです。
 常に風速が速い悪天域は、黄色で示され南半球の南極大陸近くあります。この海域で操業する船乗り達はこれを”ローリング・フォーティーズ””吠える40度”(南緯40度から50度の風浪の激しい海域)と呼んでいます。

 海洋は地球表面の70%を覆い、地球最大の貯水池であるとともに、熱と温室効果気体の貯蔵場所でもあります。数日から数年規模の海洋循環の変動は海上風によるものです。海上風は熱、水蒸気及び温室効果気体の貯蔵源を輸送し、また変化させ、これによって世界の気候を緩和しています。
 海上風は、短期及び長期気象予報の数値計算モデルに利用され、地域気象予報、台風の強さや進路予測及びエルニーニョの様な気象の解明にも利用されます。また、海況予測としても利用ができます。
 船舶やブイによる従来の方法での気象観測は時間的・空間的にまばらで十分とは言えませんが、このみどりに搭載されたNSCATは気象や気候を理解する上で適切な空間スケールと十分な頻度で海上風の変動をモニターする能力を有しています。

 これらのデータは気候予報モデルとともに気象庁、NOAA(米国海洋大気庁)等の世界中の気象サービス機関により利用されます。

 この画像はまだ校正されていませんが、NSCATデータは校正・検証された後にワールド・ワイド・ウェッブ(WWW)で公表する予定です。
 http://www.eorc.jaxa.jp/
 http://www.jpl.nasa.gov/winds/
NASA PUBLIC INFORMATION
NSCAT 主要諸元

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