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地球が見える 2014年

GPMが捉えた2014年6月の梅雨前線

 気象庁の発表によりますと、2014年の梅雨入りは、沖縄地方が5月5日頃、奄美地方が5月11日頃でしたが、その後、九州南部・北部が6月2日頃、四国が6月3日頃、中国・近畿・東海が6月4日頃、関東・東北南部が6月5日頃と日本列島を駆け足で進み、最後に東北北部が6月6日頃に平年よりも8日早く梅雨入りとなりました。6月は、関東で記録的な大雨が観測され、梅雨のない北海道でも雨が降り続くなど、平年の梅雨とは少し様相が異なるようです。

 今回は、2014年2月末に打ち上げられた日米共同ミッションの全球降水観測(GPM)主衛星に搭載された二周波降水レーダ(DPR)が、6月の梅雨期に日本付近で観測された降水の内部の鉛直構造の画像を紹介します。

 図1は、2014年6月17日20時頃(日本時間)の日本付近の梅雨前線の様子を示しています。左図は静止気象衛星「ひまわり」の赤外放射計による雲画像の上に、同時刻にDPRの軌道と観測された地表面降水量を重ねて表示しています。右図は、ほぼ同じ時刻(1時間後)の日本付近の実況天気図で、日本の南海上に梅雨前線が長く伸びていたことがわかります。また、九州の沖、薩南諸島のあたりに台風があります。これは、6月14日に発生した台風7号「ハギビス」です。中国華南に上陸して一旦温帯低気圧に変わったのですが、6月17日に東シナ海に出て再び台風として復活しました。

静止気象衛星「ひまわり」の雲画像に、DPRによる地表面降水量観測を重ねたもの実況天気図
図1
左:2014年6月17日20時頃(日本時間)の静止気象衛星「ひまわり」の雲画像に、DPRによる地表面降水量観測を重ねたもの
右:同日21時(日本時間)の実況天気図

図2は、図1と同じ時刻にDPRで観測された九州上空の降水システムを拡大したものです。図2の右下の図で、DPRの軌道の南西側にある白い雲の固まりが台風7号「ハギビス」です。このとき、台風7号の九州接近に伴い、梅雨前線が活発化し、九州南部で強い雨が観測されました。右上図のように、DPRの観測では、この降水システムは、高いところで約10kmに達していました。非常に雨の強い領域が九州の南東の海上に細長い形で存在し、強い雨は高さ5kmにまで達していました。

DPR地表面降水量九州の南西側から見た、左上図内の白矢印に沿った、DPRの降水の強さの三次元分布の鉛直断面 
静止気象衛星「ひまわり」の雲画像の上にDPRの地表面降水量を重ねたもの
図2 2014年6月17日20時頃(日本時間)にDPRで観測された九州上空の降水システム
左上:DPR地表面降水量
左下:静止気象衛星「ひまわり」の雲画像の上にDPRの地表面降水量を重ねたもの
右上:九州の南西側から見た、左上図内の白矢印に沿った、DPRの降水の強さの三次元分布の鉛直断面

 図3は、2014年6月14日11時頃(日本時間)にDPRで観測された、沖縄付近の降水システムです。実況天気図から、このとき梅雨前線の西端は沖縄の周辺にあり、DPRが観測した降水システムが梅雨前線に伴うものであることがわかります。このときに観測された降水システムは、沖縄が亜熱帯に位置することも一因と思われますが、図2や図4の降水システムに比べて、全体的に降雨の背が高いという特徴がありました。DPRの観測では、高いところでは、降水の高さは14km近くにまで達していました。また、強い雨の領域は塔状に伸びて、高さ7km近くにまで及んでいました。

DPR地表面降水量沖縄の南東側から見た、左上図内の白矢印に沿った、DPRの降水の強さの三次元分布の鉛直断面

実況天気図
静止気象衛星「ひまわり」の雲画像の上にDPRの地表面降水量を重ねたもの
図3  2014年6月14日11時頃(日本時間)にDPRで観測された沖縄付近の降水システム
左上:DPR地表面降水量 左下:静止気象衛星「ひまわり」の雲画像の上にDPRの地表面降水量を重ねたもの
右上:沖縄の南東側から見た、左上図内の白矢印に沿った、DPRの降水の強さの三次元分布の鉛直断面
右下:同日12時(日本時間)の実況天気図

北海道は梅雨がない地域なのですが、今年は6月上旬から記録的な長雨が続いていました。図4は、6月11日20時頃(日本時間)に北海道北部でDPRによって観測された降水システムです。このとき、DPRは、ロシアから日本海を越えて北海道にまで達している降水システムを捉えました。降水レーダによる雨の3次元観測は、GPM主衛星の先輩にあたる熱帯降雨観測(TRMM)衛星搭載の降雨レーダ(PR)でも可能でしたが、北海道・東北といった地域はPRでは観測ができない範囲であり、DPRで初めて観測ができるようになりました。北海道では、この長雨の影響で、6月11〜13日にかけては、列車の運休も相次ぎました。

DPR地表面降水量北海道の北東側から見た、左上図内の白矢印に沿った、DPRの降水の強さの三次元分布の鉛直断面 
静止気象衛星「ひまわり」の雲画像の上にDPRの地表面降水量を重ねたもの
図4 2014年6月11日20時頃(日本時間)にDPRで観測された北海道北部の降水システム
左上:DPR地表面降水量
左下:静止気象衛星「ひまわり」の雲画像の上にDPRの地表面降水量を重ねたもの
右上:北海道の北東側から見た、左上図内の白矢印に沿った、DPRの降水の強さの三次元分布の鉛直断面

GPM計画は、二周波降水レーダ(DPR)とGPMマイクロ波放射計(GMI)を搭載したGPM主衛星による全球降水量の高感度・高精度観測と、GPMパートナー機関が提供するコンステレーション衛星群に搭載されたマイクロ波イメージャやサウンダによる全球降水量の広範囲・高頻度観測の二本立ての計画です。これらの衛星群のデータを利用して作成されるのが、全球合成降水マッププロダクトであり、日本と米国のそれぞれで、別々に開発されています。

日本においては、世界の降雨分布を、緯度経度0.1度格子、1時間毎に、観測終了から約4時間遅れの準リアルタイムで複数衛星を利用して作成するGSMaP(Global Satellite Mapping of Precipitation)プロダクトが開発されました。GSMaPプロダクトは、2007年からGPMのプロトタイプ版として、JAXAの「世界の雨分布速報」ウェブサイトで公開していますが、2014年9月にGPMプロダクトの一般公開にあわせて、JAXAのGPM標準プロダクトである、GPM全球降水マップ(GPM-GSMaP)プロダクトに切り替わる予定であり、現在、プロダクトの精度評価を行っているところです。

図5は、GPM全球降水マップ(GPM-GSMaP)による、2014年6月1日〜13日の期間の日本付近の梅雨前線の様子のアニメーションです。主衛星搭載のGMIのほかに、コンステレーション衛星群として参加している、日本の「しずく」(GCOM-W)衛星や、米国のDMSP衛星、欧州のMetOp衛星などに搭載された、マイクロ波イメージャやサウンダと、静止気象衛星の雲の情報を複合して、1時間毎の全球の降水マップを得ることができます。将来的には、DPRの三次元の降水情報を利用したデータベースを構築し、高緯度での降水推定の精度の向上を目指します。

図5 GPM全球降水マップ(GPM-GSMaP)による、2014年6月初めの梅雨前線の動き 2014年6月1日〜13日の1時間毎のアニメーション

北半球はこれから台風・ハリケーンのシーズンに突入しますので、DPRが観測する機会が増えるでしょう。今回は、DPRが2014年4月10日4時頃(日本時間)にオーストラリアの北東の海上で、南半球の台風であるサイクロン「ITA」を観測した画像(図6)をご紹介します。

巨大なサイクロン「ITA」は、ソロモン諸島付近で熱帯低気圧として発生した後、4月5日にサイクロンとなり、4月12日にオーストラリア北東部に上陸しました。クイーンズランド地域で、少なくとも約10億オーストラリアドル以上の損害になる見込みであると、オーストラリアの新聞社が報道しました。

 DPRの観測は、オーストラリアに上陸する3日前でしたが、このとき、サイクロンの「台風の目」の周りで高度15km以上にまで発達した降水システムを観測しました。さらに広い領域を含めたサイクロンの発達の様子は、GPM全球降水マップ(GPM-GSMaP)で把握することができます。

図6 オーストラリア北東部に近づくサイクロン「ITA」 2014年4月10日4時頃(日本時間)のDPRによるサイクロンの三次元観測と、GPM全球降水マップ(GPM-GSMaP)による動画


観測画像について

観測衛星: 全球降水観測計画主衛星(GPM主衛星)
観測センサ: 二周波降水レーダ(DPR)、マイクロ波放射計(GMI)
観測日時: 2014年6月17日 (図1)(図2)
2014年6月14日 (図3)
2014年6月11日 (図4)
2014年6月1日〜13日 (図5)
2014年4月10日 (図4)
本文ここまで。
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