地球が見える 2014年
極域のモニタリング〜パイン島氷河の分離〜
2009年1月に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)に搭載されているTANSO-CAI(雲・エアロゾルセンサ)で観測された南北両極の画像です。図1が2013年6月20日の北極、図2が2013年11月18日の南極観測画像です。軌道が交差する極域であれば、このように一日で両極の広い範囲をカバーする事ができます。
広範囲な観測が可能であるという特徴を言い換えれば、頻度が高い観測が可能であるとも言え、 TANSO-CAIのような光学センサでは、夏季の北極、また冬季の南極で毎日観測が可能です。この特徴を生かした例が、図4に示す南極氷河のモニタリングです。パイン島氷河 (図3)を2013年11月4日から18日までの日々の観測画像です(図4)。図中、白く見えている箇所は、氷もしくは氷に覆われた陸地です。暗く見えている部分は氷に閉ざされていない海面です。
図3 パイン島氷河の位置
図4 パイン島氷河周辺の2013年11月4日〜18日の CAI RGB画像
図5 パイン島氷河周辺の2013年12月8日〜2014年2月26日の CAI RGB画像
分離した巨大な氷塊は、少しずつ大陸から離れる方向へ海面を漂っていく様子が、その後の観測からみてとれます(図5)。さらに、当月までの観測データで作成したアニメーションを図6に示します。分離した大きな氷塊の周辺に存在する小さな氷塊の動きを追うと、流れていく様子が顕著に分かります。
図6 パイン島氷河の分離の様子2013年11月1日〜2014年3月11日の CAI RGB画像
このように大規模な氷河や海氷の動きは、地球温暖化、気候変動の研究のための重要な指標となっていることはもちろんのこと、南極の国際航路帯へ達する恐れなど、周辺海域の船舶航行の安全確保という観点からも継続的に注視されています。地球観測衛星により海氷の動きの定期的なモニタリングが可能となり、海の監視への期待が高まっています。 観測画像について
TANSO-CAIは、温室効果ガス測定の誤差要因となる雲やエアロゾルの観測を行い、温室効果ガスの観測精度を向上します。
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