ページの先頭です。
本文へジャンプする。
【重要なお知らせ】このページは過去に公開された情報のアーカイブページです。更新を終了しているため、リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。 最新情報については、新サイト Earth-graphy (earth.jaxa.jp) をご利用ください。
ここからサイト内共通メニューです。
サイト内共通メニューを読み飛ばす。
サイト内共通メニューここまで。
ここから本文です。

地球が見える 2004年

伸縮自在な巨大湖:トンレサップ湖

図1 乾季のトンレサップ湖
(2003年4月13日)
図2 雨季のトンレサップ湖
(2003年10月10日)

上の画像は、 ADEOS-II/GLI が捉えたカンボジア中西部にあるトンレサップ湖からメコン河流域です。図1は乾季( 4 月 13 日)、図2は雨季( 10 月 10 日)の様子を示しています。緑色に見える部分は植生地域 ( 森林、農地等 ) 、赤色や茶色に見える部分は非植生地域 ( 土壌等 ) 、黒色や青色に見える部分は水域(湖、川、海など)を表しています。

この地域では、 5 月から 10 月上旬までが夏季モンスーン ( 雨季 ) に当たり、画像の左上に見える東南アジア最大の淡水湖であるトンレサップ湖が、雨季の終わりに周辺の森林や農地を飲みこんで拡大している様子が捉えられています。トンレサップ湖から流れ出るトンレサップ川が首都プノンペンでメコン河と合流するため、雨季にメコン河の水位が約 10m 上昇すると、トンレサップ川を水が逆流してトンレサップ湖の水位も約 10m 上昇し、面積は乾季の3〜4倍以上にもなるそうです。実際、画像解析から図1、2のトンレサップ湖の水域を推定すると、図1では約 3,300 km2、図2では約 11,600 km2 (*) となり、面積が約 3.5 倍に広がったことがわかりました。一見すると大災害のようにも見えますが、この地域では毎年起こっている自然現象であり、この地域に住む人々は高床式の水上家屋に住み、雨季には陸上の家に移動するなど、環境変化に対応して水とともに生活をおくっているのです。

トンレサップ湖は約 5000 年前の海面上昇によりできたもので、そこに生息する淡水魚の種類は非常に豊富で、雨季に浸水した森林は魚の産卵地、稚魚の遊び場としての役割を果たしてきました。また、カンボジアの総人口の 10% 以上に相当する 120 万人が、トンレサップ湖での漁業によって生計を立ててきました。しかし、近年では森林伐採によるトンレサップ湖への土砂流入、乱獲や違法漁業などがあいまって、生態系変化、水資源の減少が危惧されており、今後この地域における環境モニタリングの重要性が叫ばれています。
なお、トンレサップ湖の北(北緯 13.5 度、東経 104 度)には、 12 世紀に建造されたヒンドゥー教の壮大な寺院アンコール・ワットがあります。


(*) 琵琶湖の約 15 倍に相当します。

観測画像について
観測衛星: 環境観測技術衛星 (ADEOS-II)
観測センサ: グローバル・イメージャ (GLI)
観測日: 2003 年 4 月 13 日 (図 1 )、2003 年 10 月 10 日 (図 2 )
これらの画像はいずれも、 ADEOS-II/GLI 250m データの短波長赤外の 1614 ナノメートル ( チャンネル 28) 、近赤外の 825 ナノメートル ( チャンネル 23) 、可視光である 660 ナノメートル ( チャンネル 22) の波長帯のデータを赤、緑、青に割り当てて合成したものです。



本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
画像:ページTOP