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地球が見える
2004年
2004年2月13日掲載
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地球が見える 2004年
縮小を続ける沙漠の海:アラル海
アラル海は、中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンにまたがって位置し、かつては琵琶湖のおよそ100倍の面積をもつ世界で4番目に大きな湖として、乾燥地帯に豊富な水をたたえていました。しかし、近年アラル海の水は急激に失われており、面積は年々縮小しています。1989年頃には北側の小アラル海と南側の大アラル海に分断され、さらに現在では南側の大アラル海が東西の2つの領域に分断されつつあります。
図1 1996年11月16日
(みどり/OCTS)
図2 2003年10月14日
(みどりⅡ/GLI)
図1と図2は、1996年11月16日と2003年10月14日に観測されたアラル海周辺の様子を比較したものです。それぞれ、地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」搭載のOCTSと、環境観測技術衛星「みどりⅡ」搭載のGLIの観測によるものです。7年のあいだにアラル海の湖岸線の形が大きく変化している様子がわかります。
アラル海の縮小とともに、塩分が蓄積した地表(図2で白く見える部分)が、かつての湖底であった場所に出現していることが確認できます。現在のアラル海はかつての半分の面積にも満たず、水量の大幅な減少によって死海をも上回るという高濃度の塩水が支配する過酷な環境になっていると報告されています。
図3 アラル海周辺の広域画像
(2003年10月14日、みどりⅡ/GLI)
図3は、アラル海とその周辺の広域画像で、2003年10月14日にGLIによって観測されたものです。
万年雪を頂くヒンドゥークシ山脈や天山山脈に源を発するアルダリヤ川とシルダリヤ川の2つの大河は、途中、カラクーム沙漠やクジルクーム沙漠に緑をはぐくみながら、内陸湖アラル海を目指して流れます。これらの河の周辺では、灌漑用水を利用した綿花の栽培がおこなわれており、画像では濃緑色の帯としてあらわされています。
アラル海縮小の原因として、この灌漑農業による大量の取水が指摘されています。現在では、かつての湖底に現れた大量の塩分が周囲に飛散することにより、広い範囲で農作物への被害や大気汚染、健康への影響をもたらしていることや、アラル海の縮小による気候の変化が、周辺国の経済を支える綿花栽培に悪影響をおよぼしていることなどが指摘されており、湖の縮小防止対策がおこなわれています。
観測画像について
図1:
観測衛星: 地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)
観測センサ: 海色海温走査放射計(OCTS)
観測日: 1996年11月16日
可視光の観測波長帯の3つのチャンネルのうち、黄色に近い緑色に相当する565ナノメートル(チャンネル5)、青緑色に相当する520ナノメートル(チャンネル4)、青色に相当する443ナノメートル(チャンネル2)のデータにそれぞれ赤、緑、青色を割り当てた画像です。目で見た状態に近い合成画像ですが、GLIとOCTSのセンサ特性の違いにより、図2、3に比べて若干黄色みがかかって見えています。元々の分解能は700mです。
図2、図3:
観測衛星: 環境観測技術衛星「みどりⅡ」(ADEOS-II)
観測センサ:グローバルイメージャ(GLI)
観測日:2003年10月14日
可視光の観測波長帯の3つのチャンネル、赤色に相当する660ナノメートル(チャンネル22)、緑色に相当する545ナノメートル(チャンネル21)、青色に相当する460ナノメートル(チャ ンネル20)のデータにそれぞれ赤、緑、青色を割り当てた、目で見た状態に最も近い合成画像です。元々の分解能は250mです。
本文ここまで。