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地球が見える 2004年

地球史を物語る赤い大陸:西オーストラリア

(図1)西オーストラリア

画像(図1)は西オーストラリア州の大部分(北部を除く)を捉えています。画像の大部分は、乾燥した広大な砂漠や植生がまばらなサバンナ(赤茶色ないし薄茶色)が広がっており、その中に塩湖(水色)や湖(紺色ないし黒)が点在していることが分かります。一方、南西部には森林(濃い緑)や草地・畑(黄緑)が見られ、植生が豊かであることが分かります。実際、州都パースを含むこの辺りは、地中海性気候のため年間を通じて温暖で、適度な降水に恵まれています。また、南部の緑がかった焦げ茶色の部分はサバンナまたは低木の生えたサバンナで、直線的な植生の境界線(長さ150km近くに及ぶものもあります。)がいくつか見られ、人工的に作られたものであることを印象付けています。なお、白は雲を、黒は海や湖・川などの水面またはデータのないことをそれぞれ表しています。

地球が誕生したのは、およそ46億年前のことで、ハマーズリー山脈(図2)の近くでは35億年前の岩石も見つかっています。また、光合成を行う「シアノバクテリア(*1)」と呼ばれる細菌の微化石が、27億年前の堆積岩「ストロマトライト」の中に見つかっています。そして、世界遺産であるシャーク湾(図3)の奥のハメリンプールには、生きた「ストロマトライト」が現存しています。この岩は、「シアノバクテリア」が分泌する粘液に石灰質の固体微粒子が付着することによって、浅海で成長します。

(図2)ハマーズリー山脈とその周辺 (図3)シャーク湾とハメリンプール


シアノバクテリアは体内に葉緑素を持っていて、光合成により酸素を発生し、この酸素はまず当時の海水中に大量に含まれていた鉄イオンを酸化するのに使われました。こうして酸化鉄が海底に沈殿し、およそ25〜19億年前に大規模な鉄鉱床が世界中で形成されました。世界最大のハマーズリー山脈の鉄鉱床もそのひとつで、そこで採掘された良質の鉄鉱石は鉄道と船で日本に輸出されています。また、シアノバクテリアが発生した酸素はやや遅れて大気中に出ていき、23〜19億年前に大気中の酸素濃度が急激に高まって、10億年前には有害な紫外線をさえぎるオゾン層が形成され、6〜5億年前(カンブリア紀)の多様な生物の爆発的な発生・進化につながっていきました。
(図4)シューメーカー衝突構造

その前後の出来事の痕跡として、画像には衝突クレータが見えています。図4は16億3000万年前に形成されたシューメーカー衝突構造(直径30km)で、以前はティーグ・リングと呼ばれていましたが、1997年に隕石孔調査のために訪れていた北オーストラリアで交通事故でなくなったユージン・シューメーカー博士(*3)にちなんで、改称されました

*1:シアノバクテリアの活動により、地球の大気組成は他の惑星のそれと大きく異なり、酸素が豊富な組成となりました。
*2:この鉄鉱床は、広さ10万平方km (北海道と四国を合わせた面積にほぼ等しい)、深さ1,500mに及びます。
*3:アメリカの地質学者、天文学者。1994年7月に木星に衝突した「シューメーカー・レビー第9彗星」の発見者として有名です。


観測画像について
観測センサ:グローバルイメージャ(GLI)
観測日:2003年5月27日
図1:植生分類などの土地被覆調査のためによく用いられるチャンネルの組み合わせで、短波長赤外域の1640ナノメートル(チャンネル28)、近赤外域の825ナノメートル(チャンネル23)、可視光の660ナノメートル (チャンネル22)の観測データに、それぞれ赤、緑、青色を割り当てて合成した画像で、元々の分解能は250mです。
図2:資源探査や地質調査の目的でよく用いられるチャンネルの組み合わせで、短波長赤外の2210ナノメートル(チャンネル29)、近赤外域の825ナノメートル(チャンネル23)、可視光の460ナノメートル(チャンネル20)の観測データに、それぞれ赤、緑、青色を割り当てた画像で、元々の分解能は250mです。脈状に見えている黄緑色や茶色の部分の多くは堆積岩で、酸化鉄が多いと思われます。また、緑色は植生を、黄色は砂漠ないしサバンナを表しています。
図3:可視光の観測波長帯の3つのチャンネル、660ナノメートル(チャンネル22)、545ナノメートル(チャンネル21)、460ナノメートル(チャ ンネル20)のデータにそれぞれ赤、緑、青色を割り当てた、目で見た状態に最も近い合成画像です。元々の分解能は250mです。
図4:図2と同じチャンネル、同じ色付けです。

関連情報:
「灼熱の赤い大地オーストラリア」
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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