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地球が見える
2003年
2003年11月27日掲載
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地球が見える 2003年
サンフランシスコ沖の渦構造と植物プランクトン
(画像1)
画像1(*1)は、北米西岸サンフランシスコ沖を、2003年5月26日にGLIが250m解像度で捉えたものです。右上に見える黄緑の部分が陸地、白い部分が雲、それ以外は海を示しています。この画像では、サンフランシスコ沖の発達した渦の構造や海の色を、特徴的に捉えています。海の色が緑や青に映って見えるのは、海洋中の植物プランクトンによるものです。この海域では大規模な風の場によって海水が沖へ運ばれ、沿岸ではそれを補うような上昇流(沿岸湧昇)が生じています。これによって栄養塩が豊富に供給されるため、通年で植物プランクトン濃度が高くなります。図1の中心から左に見える渦模様は、ダイナミックな海水の流れとそれに伴った植物プランクトンの分布を表しています。
(画像2)
画像2(*2)は、同時に取得されたGLIの1 km解像度データによる、海洋植物プランクトン中に含まれるクロロフィルa濃度を表しています。赤いほどクロロフィルa濃度が高く、青いほどクロロフィルa濃度が低いことを示しています。□で囲われた範囲が、画像1の範囲に該当します。
画像1、2を比較すると、画像1で暗緑、薄い青、青、濃い青の順に、クロロフィルa濃度が高い海域から低い海域へと対応していることがわかります。この日は、クロロフィルaが1mg/m 3 以上の高濃度の領域が、沖合い約400kmまで広がっていました。また、解像度1kmの画像2では見づらい渦の構造や飛行機雲が、解像度250mの画像1では良く見えていることが分かります。一方、画像1で薄い雲などで霞んでいる部分でも、画像2では大気補正(*3)を行うことにより、クロロフィルa濃度が明瞭に求められていることが分かります。
(*1)250m解像度チャンネル(チャンネル22、21、20)を用いたRGB合成画像です。大気補正は行っていませんが、大気の影響ができるだけ出ないように、また海の色が良く見えるように全体的に強調しています。
(*2)大気補正を行い、これまでに開発したアルゴリズムを使って植物プランクトン濃度を求めたものです。
(*3)大気中にはエアロゾルと呼ばれる微粒子が浮かんでいて、このため、晴れていても遠くの景色がかすんで見えます。人工衛星で地球を観測する場合、地表の物体や海表面から上向きに出た光は、エアロゾルによって吸収・散乱され、弱くなります。また、大気中のエアロゾルによって散乱された光も地球観測衛星に届きます。これらの影響を除いて、地表の物体や海表面から上向きに出た元々の光の強さを推定する手法を大気補正と呼びます。特に、衛星から海を見ると、陸地に比べて非常に暗く、観測される光の強さのうち、8〜9割は大気による散乱で、残りの1〜2割が海表面からの光に過ぎません。したがって、海をきちんと観測するためには、大気補正は不可欠です。
本文ここまで。