2003年9月13日、西インド諸島上空でGLIが巨大ハリケーン「イザベル」を捉えました。下のハリケーン画像で、ドミニカ共和国、プエルトリコからベネズエラまでの陸地が見えています。この観測画像を解析し、雲頂高度(雲の一番上の高さ)を推定したものが上の図です。ハリケーンの渦の雲頂は最も高いところで高度16kmにも達し、その付近の温度はマイナス70度Cまで下がっていました。雲頂高度が高いということは、それだけハリケーンが発達していることを表しています。
ハリケーンの中心付近に一部二重になった「眼」の様子が良くわかります。
「イザベル」は9月19日に温帯低気圧になってから、アメリカの東海岸に上陸し、死者およそ30人、首都ワシントンやその周辺における大規模な停電、連邦政府機関の一時閉鎖などの被害をもたらしました。
GLIの画像を解析すると、雲頂高度以外にも、雲頂温度、雲粒の大きさなどを推定することが出来ます。
(参考ページ) TRMM台風データベースのうち「イザベル」のページ
http://www.eorc.jaxa.jp/TRMM/typhoon/html/a/2003s/13L.ISABEL_2003s_j.htm
(注1)この図は、雲の一番上の高さが場所によって違うことを、色付けして3Dグラフィッククス表示をしたものです。雲の頂上から下に地表までずっと雲が続いているように見えますが、雲の立体構造が常にそうなっているわけではありません。
(注2)国際的には、熱帯低気圧が最大風速32.7m/秒以上に発達すると、大西洋・カリブ海・北大西洋東部で発生したものは「ハリケーン」、インド洋・ベンガル湾では「サイクロン」、北太平洋西部では「タイフーン」と呼ばれます。日本では、最大風速が17.2m/秒以上の熱帯低気圧を「台風」と呼びます。
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