この画像は、ブラジルのパラ州を東西に走るアマゾン横断道路(トランスアマゾニカ)と、その周りに魚の骨のように広がる熱帯雨林の伐採跡「フィッシュボーン」を捉えたものです。濃い緑色は熱帯雨林を、薄い緑色は草地や牧場を、黒色は川や湖やデータのない部分を、赤茶色は裸地や岩肌など植生の少ないところを表しています。画像の北に白い雲で覆われた部分にアマゾン川が東西に流れており、アマゾン川から南に向かってタパジョス川(左)、イリリ川とシングー川(中央)、トカンティンス川(右)が伸びています。アマゾン横断道路は、それらの川を横切って画像中央に薄緑の細い線で映し出されています。
アマゾンの熱帯雨林は全世界の熱帯雨林の30%を占め、二酸化炭素を取り込み、酸素を作りだす「地球の肺」の役割を果たしてきました。しかし過去20年間、毎年四国とほぼ同じ面積の1万7千km 2 が消失し続けていると言われています。1960年代にブラジルでは、農民のアマゾンへの入植を積極的に勧め、原生林を伐採して全長5,500kmに及ぶアマゾン横断道路を建設しました。入植者は、農地を開くために伐採を繰り返し、地味がなくなった土地は野焼きされ牧場として開発されました。このようにして、熱帯雨林は道路沿いから次第に消失していき、画像に見られるような「フィッシュボーン」のパターンが作られていきました。
現在では、ブラジル政府による森林保全施策が進められているものの、伐採や野焼きも依然として続けられています。アマゾンに住む農民たちにとって、伐採や野焼きは生活の手段であり、土地を整えるための基本的な農業技術のひとつです。先進国の一層の協力も期待されています。
この画像は、GLIの250m解像度の画像データから、短波長赤外チャンネル28(波長1.64μm)、近赤外チャンネル23(波長825nm)、赤色チャンネル22(波長660nm)のデータをそれぞれ赤、緑、青に割り当ててカラー合成したもので、観測は2003年5月19日でした。
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