そもそもトリム衛星ってどんな衛星?
熱帯降雨観測衛星というけれど、どんな場所を移動していて、何を観測しているのか、そんなトリム衛星の素顔も、グーグルアースを使ってご紹介します。
人工衛星はどのくらいの高さを飛んでいるのか知っていますか?
衛星によって様々ですが、トリム衛星は上空400km付近を飛んでいます。
400kmというと、東京から大阪くらいの距離。
トリム衛星をグーグルアースで見てみる
結構遠い気がしますが、実際にグーグルアースでトリム衛星の高さを確認してみると
案外地球の近くを飛んでいることがわかります。
トリム衛星は宇宙から地球を観測する衛星。
トリム以外にもたくさんの仲間がいます。
例えば2006年に打ちあがっただいち衛星、他国との共同で運用しているアクア衛星とテラ衛星。
また天気予報でよく登場するひまわり衛星などが代表例。
そして、実はそれぞれの軌道の高さは結構違うんです。
地球観測衛星の高さを比べる
トリム衛星と、だいち衛星と、テラ衛星のそれぞれの高さを比較してみましょう。
人工衛星といえば天気予報にでてくる「ひまわり衛星」。
この衛星は、ずっと同じ場所から地球を観測している静止軌道衛星です。
トリム衛星と比べて、どのくらいの高さにいるのでしょう?
さきほどのKMLの中にひまわり衛星も含まれていますので、ダブルクリックしてジャンプしてみましょう。
トリム衛星は1日で地球を何周できるのでしょうか?
下のKMLをグーグルアースでみてみましょう。
2007年1月2日のトリム衛星の移動コース
たった1日でこれだけの距離を移動し、雨や雲を観測します。
右上のタイムスケールバーにある再生ボタンをクリックすると
トリム衛星が動きだしますので、そのがんばりをグーグルアースで確認してみましょう。
動かしてみるとわかりますが、
トリム衛星はおよそ90分で地球を1周し、なんと1日に16周もします。
トリム衛星は赤道を中心に南北37度までの範囲をカバーする熱帯地域を中心とした軌道をとります。
それは、赤道付近の熱帯降雨に観測のターゲットを絞ったから。
太陽の向きに合わせて移動する他の地球観測衛星と比べて、観測する時間も変わりますので、
同じ現象を、時刻を変えて観測することだってできます。
きれいにみえるトリム衛星の軌道は、練りに練った戦略のもとで決められた、知の軌跡です。
天気予報でおなじみの降雨レーダ。それを世界で初めて、衛星に搭載してみようというのがトリム衛星のPR(Precipitation Radar)というセンサです。
地球観測衛星に搭載されることで、(1)高さの情報も含めた、降雨の三次元構造がわかり、(2)海や陸の雨の量を測ることができ、(3)雨の構造の情報から、観測範囲の広いもう一つの降雨センサであるTRMMマイクロ波観測装置(TMI)の観測精度をあげることができます。
TMI(TRMM Microwave Imager)はマイクロ波帯からミリ波帯にかけて5周波/2偏波で地球放射を測定する装置であり、そのデータは主に海洋上で降雨強度を定量的に推定するために利用されます。TMIのデータは降雨レーダのデータと共にTRMMの主要な降雨測定データとして利用され、かつ、降雨レーダ及びVIRSのデータと組み合わせることにより、降雨の垂直構造を明らかにするために利用されます。
人間の目で捕らえられる可視光の赤から近赤外、中間赤外までの波長域を観測する可視赤外観測装置VIRS(Visible Infrared Scanner)は、雲の分布を把握するためのセンサで、PRやTMIよりも水平分解能が細かい(解像度2km)ことから、マイクロ波のデータと比較することで、VIRSの可視・赤外データだけから降雨量を測定することが期待されます。