1998〜2013年の16年間の1月の一ヶ月平均。 上段から、降雨頂高度(単位は m)、高度6km、4km、2kmの降雨強度(単位は mm/30days)。 降雨頂高度は地表面降雨強度が0.5mm/hr以下をマスクしている。
雨が観測される一番高い高さを降雨頂高度と呼び、海面からの高度で表す。 大気中のどの高さまで雨が存在するかは、潜熱の放出を通じて、大気の暖まり方や循環に大きく影響する。 陸上では海上よりも地表面が暖められやすく、対流活動が発達しやすいために、海上よりも高いところまで雨が降っているのが普通である。 夏半球にある大陸上では、8kmや時には10kmにまで達する降雨が起こるが、海上では高くても6km〜7km 程度の降雨であり、海陸での差異が明確である。特に標高が高く、地表面自体が海面から4km〜5kmの高度にあるチベット高原などでは、降雨システム自体の降雨高さはそれ程高いわけではないが、海面から換算すると8km〜10kmの大気上層にまで雨があることになるため、その変化が潜熱を介して世界的な気候に影響を与える。
図は1月の降雨の鉛直分布と降雨頂高度である。1月の夏半球は南半球となり、アフリカ大陸の南部、オーストラリア大陸、南米大陸で、高い高度の雨が観測されており、海陸の差が最も目を引く特徴である。 冬半球にあたる日本の東海上の太平洋では、2kmの降雨量は月100mmと比較的多いが、6kmではほとんど降っておらず、降雨頂高度でみても、3〜4kmの高さとなっている。