地球温暖化予測
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気候変動予測の現状 - 21世紀末の地球の気温は?

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表した第6次評価報告書によると、2011~2020年の世界平均気温は、1850~1900年よりも1.09度前後上昇したことが報告されています*1(図1)。そして、その発表の中では、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と初めて断定しました。図2は、1850~1900 年に対する地球の平均気温の変化を示しています。自然起源の要因のみを考慮した気候モデルによるシミュレーションは気温があまり変化していませんが(緑実線)、人為起源の要因も考慮すると、1990年代後半以降で気温が上昇し、実際に観測された気温上昇の傾向ととても近いことがわかります。つまり、世界で観測された気温上昇は自然起源の要因だけでは説明がつかないことを示しています。

では、今後地球の気温はどのように上昇していくのでしょうか。世界の代表的な気候モデルを複数用いた予測実験では、21世紀末には、温室効果ガスの排出が少ない想定(シナリオ)では1.3~2.4度、多い想定の場合で2.8~4.6度の気温上昇が予測されることが報告されました*2(図3)。

このような地球の気温上昇に起因して、熱波や大雨などの自然災害が増加することが指摘されています。近年日本においても、猛暑日や大雨の日数が増加しており*3、みなさんも日々の生活で感じられているのではないでしょうか。IPCC第6次報告書による気候シミュレーションでは、気温上昇が高ければ高いほど、陸域の降水量が増加し、北極の海氷面積が減少し、海面高度が上昇すると報告されています(図4)。未来の世代の人々が安心して暮らせるような環境を維持するため、様々な活動や、気候変動予測の研究が続けられています。

しかし、この気候変動予測の研究においては、1.3~2.4度や2.8~4.6度の気温上昇という報告からもわかるように、予測に用いる気候モデルの間で誤差があることが指摘されています。過去100年間の温度上昇が1.09度前後だったことを考えると、このモデル間の隔たりというのはたいへん大きな誤差なのです。

では、なぜこのような大きな誤差が生まれるのでしょうか。次のコーナーで説明します。

*1 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書 政策決定者向け要約

*2 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書 政策決定者向け要約 Table SPM.1

*3 気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 ~日本の気候変動とその影響~