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陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)初期機能確認期間中の観測画像について
(その2・ドバイ編)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、現在、2014年5月24日に打ち上げた陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の初期機能確認試験・各センサの校正・検証作業を実施中です。同衛星の観測データは、災害発生時の状況把握や森林伐採の監視、オホーツクや極域の海氷観測などに貢献することが期待されています。

今後は随時、「だいち2号」に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)により、初期機能確認期間中に取得された画像の一部を紹介します。今回は、2014年7月22日(日本時間、以下同じ)に高分解能[3m]の単偏波モード、オフナディア角32.4度でドバイを観測したデータの紹介です。

「だいち2号」観測データの品質を向上させるため、今後も引き続き校正・検証を行っていきます。観測データの一般利用者への提供は11月下旬を予定しています。

PALSAR-2は、地殻変動や地球環境の監視に適したLバンドの周波数を用いた衛星搭載の合成開口レーダとしては世界唯一のもので、昼夜や天候によらず地表の画像を取得することができます。

以下の各図は、「だいち2号」(ALOS-2)に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)の試験電波発射により取得された観測画像です。

図1の赤枠は、今回取り上げたデータの観測範囲です。青枠で示したドバイ周辺の画像を図2に示します。
図1: 観測範囲図
図1: 観測範囲図
図2は2014年7月22日に観測されたドバイ周辺の画像です。アラビア半島のペルシャ湾に位置する都市ドバイには、いくつかの人工諸島プロジェクトにより、非常に特徴的な地形が存在します。図2赤枠内の拡大図を、それぞれ図3から図6に示します。
図2: ドバイ周辺
図2: ドバイ周辺
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図3は、ザ・ワールドの拡大図です。ザ・ワールドは300以上の人工島からなり、上空から見たときに世界地図にみえるように設計されています。
図3: ザ・ワールド
図3: ザ・ワールド
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図4は、パーム・ジュメイラの拡大図です。パーム・ジュメイラは、ヤシの木の形をした人工島です。幹にあたる部分から16本の枝状の地形が延び、それらが三日月形の防波堤によって囲まれています。別荘地・観光地といったリゾート地として、開発が進んでいます。
図4: パーム・ジュメイラ
図4: パーム・ジュメイラ
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図5は、パーム・ジェベル・アリの拡大図です。パーム・ジェベル・アリもパーム・ジュメイラ同様にヤシの木状の人工島です。両者は同じような形状にもかかわらず、明るさに大きな違いがみられます。一般的に、人工構造物等の凹凸がある地表面に照射された電波は強く返って来ます。それに対して、道路等の平坦な地表面から返ってくる電波は相対的に弱くなり、画像としては暗くなります。
図5: パーム・ジェベル・アリ
図5: パーム・ジェベル・アリ
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図6は、円形の敷地を形成するジュメイラ・ビレッジ・サークル(赤枠A)とその周辺の街並の様子です。日本ではあまり馴染みの無い、非常に特徴的な街並です。
図6: ジュメイラ・ビレッジ・サークル周辺の街並
図6: ジュメイラ・ビレッジ・サークル周辺の街並
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最後に、図6赤枠内の「だいち」に搭載されたPALSARによる観測画像との比較を図7に示します。
図7: PALSAR-2とPALSARの比較
図7: PALSAR-2とPALSARの比較
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図7: PALSAR-2とPALSARの比較
図7: PALSAR-2とPALSARの比較
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図7はPALSAR-2(左)とPALSAR(右)の比較です。一見してPALSAR-2の画質が向上していることが分かります。特に、ジュメイラ・ビレッジ・サークルの中央の円形地形(A)、密集して立ち並ぶ住宅地(B)は、より鮮明になっています。
JAXA EORC