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PALSARによるハワイ島・キラウェア火山火口部の隆起検出

3ヶ月間のハワイ島キラウェア火口近辺の地殻変動量を3次元表示したもの
本画像はPALSAR差分干渉処理により、3ヶ月間のハワイ島キラウェア火口近辺の地殻変動量を3次元表示したものです。 マグマだまりの膨張に伴い、火口南西部が約10cm隆起したことが観測されました。
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「だいち」搭載の「PALSAR」による米ハワイ州ハワイ島南部の観測画像を「差分干渉処理」(*)したところ、キラウェア火口部南西部の直径約5kmの領域が、2006年5月2日から8月2日の3ヶ月間で約10cm隆起していることが分かりました。この隆起は地下のマグマ溜まりの膨張によるものです。

上の図では、地殻変動量の大小を色の変化として示しています。暖色は軌道上の衛星と地面との距離が縮んだ(隆起)ことを、寒色は距離が伸びた(沈下)をことを表しており、色の1周期は11.8cmです。カルデラ部が紫色なのは隆起量が大きすぎるためであり、さらに1周期分を加えることで隆起量が約10cmであることが図から読みとれます

活発な活火山であるキラウェア火山周辺にはGPS受信機が設置され、ここ数か月にマグマの上昇を裏付ける情報が得られておりましたが、この観測でさらに詳細な隆起の状況が、面的にとらえられたことになります。
「差分干渉処理」とは、ほぼ同じ衛星軌道から観測したSAR画像を引き算(差分)し、地形の高さ情報や軌道の間隔も補正することで、地殻の変動分だけを抽出する(干渉処理)する技術です。(上図参照)
干渉処理は電波の波長に敏感ですが、従来SARで使われてきた電波よりも波長の長いLバンドの電波が、干渉処理をさせやすいことがこれまでに報告されています。波長23.6cmというLバンドの電波を使用するPALSARは、今回の観測でも改めてその優れた性能を証明することができました。今後もこの手法は、より詳細な災害解析などに生かされます。
差分干渉処理
JAXA EORC