画像ライブラリー

「だいち2号」による2021年8月の豪雨の緊急観測結果について

概要

  • 2021年8月12日から続いた豪雨によって、西日本を中心に各地で浸水被害が発生した。
  • JAXAでは国土交通省からの要請に基づき、「だいち2号」による観測を多数実施した。
  • これらの観測データから、浸水域の自動推定を試みた。

2021年8月12日から季節外れの梅雨前線が日本の東西を広く覆う形で形成された大規模な線状降水帯により続いた豪雨によって、西日本を中心に各地で河川の氾濫による浸水などの被害が発生しました。JAXAは、国土交通省からの要請に基づき、8月12日から15日にかけて「だいち2号」(ALOS-2)搭載のLバンド合成開口レーダ「パルサー2」(PALSAR-2)による緊急観測を行い、データを防災関係機関等に提供しました。

以下にこれらのデータから推定した浸水域を示します。これらは「だいち2号」および「Today’s Earth」による氾濫シミュレーションのデータ等を組み合わせて推定したものです。この推定は自動処理のため目視による妥当性の確認や修正は行っておらず、農地の通常の湛水など、浸水に関係しない変化が含まれる場合がありますのでご注意ください。
(a)
(クリックで拡大画像へ)
(b)
(クリックで拡大画像へ)
(c)
(クリックで拡大画像へ)
図1:九州地方の「だいち2号」の観測画像(左)および推定された浸水域(右、青色部分)。(a) 2021年8月12日23時23分頃の観測、(b) 8月13日12時52分頃(熊本県周辺)および23時44分頃(佐賀県周辺)の観測、(c) 8月14日13時13分頃の観測。背景地図は「淡色地図タイル」(国土地理院)。

図1(a)は2021年8月12日23時23分頃(日本時間、以下同じ)の「だいち2号」の観測画像および推定された浸水域を示します。この時点では佐賀県小城市、佐賀市、福岡県久留米市、柳川市、みやま市、熊本県玉名市、熊本市、宇土市、益城町などで小規模な浸水域が見られます。

図1(b)は8月13日12時52分頃(熊本県周辺)および23時44分頃(佐賀県周辺)の観測画像および推定された浸水域を示します。佐賀県の六角川周辺の各市町などで浸水域が拡大しています。

図1(c)は8月14日13時13分頃の観測画像および推定された浸水域を示します。特に六角川、牛津川、武雄川の周辺(佐賀県武雄市、大町町、江北町、白石町、小城市、佐賀市)で広範囲の浸水域が見られます。

図2は8月15日0時5分頃の観測画像および推定された浸水域を示します。江の川周辺(島根県江津市、川本町、美郷町、広島県三次市、安芸高田市)で多数の浸水域が見られます。太田川周辺(広島県広島市)などでも小規模な浸水域が見られます。

図2:島根県・広島県周辺の「だいち2号」の観測画像(左)および推定された浸水域(右、青色部分)。8月15日0時5分頃観測。背景地図は「淡色地図タイル」(国土地理院)。
(クリックで拡大画像へ)

今回の災害で被害にあわれた全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。

JAXA EORC