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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による中国甘粛省土砂災害の緊急観測結果(2)

2010年8月8日、中国北西部の甘粛省(かんしゅくしょう)甘南(かんなん)チベット族自治州舟曲県(どぅくちゅけん)で大規模な土石流が発生し、甚大な被害が出ています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年8月10日(日本時間)に引き続き、2010年8月24日12時51分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*により現地の緊急観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したものです。アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラーで表示しており、人の目で見た色に近く見えます。白く見えるのは雲です。
図1:今回観測した画像全体
図1:今回観測した画像全体
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観測日時: 2010年8月24日12時51分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: -4° 黄枠: 図2の範囲

図2は、2010年8月23日観測の画像と災害発生前の画像を比較したものです。バンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており植生が赤く見えるため、土砂崩れなどにより植生が失われたところを明確にとらえることができます。黄色丸で囲ったところは土砂崩れおよび土石流により被害のあった地域ですが、2010年8月10日の観測では雲に隠れて見えなかった被災地の上方に位置する緑色丸で囲った谷間の部分でも、植生が失われ土石流が発生していたことが分かりました。
図2: 土砂崩れが発生した三眼村付近の拡大(それぞれ8km四方)
図2: 土砂崩れが発生した三眼村付近の拡大(それぞれ8km四方) 左:2010年8月24日(災害発生後)、右:2010年3月10日(災害発生前)
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JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

なお取得された画像は、国土交通省および国土技術政策総合研究所へ提供しました。

* 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は東側から4度で取得しました。また2010年3月10日の画像は、0度で取得しました。

JAXA EORC