画像ライブラリー
陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるイタリア森林火災の緊急観測結果
2009年9月初旬からイタリアの各地で森林火災が多発しています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2009年9月17日19時40分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1によりイタリア北西部の森林火災発生地の緊急観測を実施しました。
図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、ミラノから南に約150kmに位置しており、南側は地中海(リグリア海)に面しています。画像全体は白く見える雲に覆われていますが、詳細に解析したところ今回の森林火災の形跡と考えられる箇所を確認できました。
図2、3は図1に黄枠で示した範囲を拡大した画像で、火災により焼失したと考えられる場所が黒色で見えており、それぞれ黄色丸で示しています。画像を詳細に確認したところ、特に近赤外チャンネル(バンド4)で火災により消失したと考えられる場所が判別できることが分かりました。
図4、5はそれぞれ図2、3と同じエリアについて、火災により消失したと考えられる場所を赤色で示しています。図4からは海岸線沿いの市街地のすぐ近くまで火災が広がっていた様子が分かります。なお、取得された画像は、ALOS欧州データノード(ALOS Data European Node, ADEN)へ提供しました。

図5: 火災域の推定マップ(図3と同じエリア)
(約1.5秒で火災により焼失したと考えられる場所が赤色で表示されます。)
*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は東向きに22度で取得しました。
*2 フォールスカラー画像:
AVNIR-2のバンド4、3、2を用い、植生を赤く強調しているため火災による焼失場所などの地表面の変化が見やすくなります。
JAXA EORC