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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるギリシャ山火事の緊急観測結果
2009年8月下旬にギリシャで大規模な山火事が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2009年8月25日午後18時52分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。
図1は今回観測した画像の位置を示したものです。ギリシャの首都アテネは画像の中心から約20km西側に写っています。
図2、3は図1の黄枠の範囲を拡大した画像で、火災により焼失したと考えられる場所が黒く見え、それぞれ黄色丸で示しています。図2、3から推定される焼失面積は、雲の下を除いてそれぞれ約45平方km、約110平方kmです。
また、今回観測された画像では図2, 3の範囲以外でも焼失したと考えられる場所が確認できました。図4は画像全体で火災により焼失したと考えられるエリアを赤色で示したもので、この面積の合計は約198平方kmでした。これは東京都のJR山手線内の面積のおよそ3倍、東京ドームの面積のおよそ4,200個分に相当します。
なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。
図4: 焼失域の推定マップ
約1秒で災害後(2009年8月25日)の画像、火災により焼失したと考えられる場所を
示した画像(赤色で表示)が切り替わります。
*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は東向きに42度で取得しました。
*2 フォールスカラー画像:
AVNIR-2のバンド4, 3, 2を用い、植生を赤く強調しているため火災による焼失場所などの地表面の変化が見やすくなります。
JAXA EORC