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沖縄島高解像度土地利用土地被覆図【2020年】
(2023年1月リリース / バージョン23.01) 

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1. 概要

宇宙航空研究開発機構地球観測研究センターは、筑波大学およびリモートセンシング技術センターとの共同研究で国レベルの土地利用土地被覆図を開発し、無償公開をしています。今回新たに地域レベルの土地利用土地被覆図の開発に着手しました。その一環として、沖縄島(沖縄本島)の2020年の現況を表現した高解像度土地利用土地被覆図をバージョン23.01としてリリースします(注: 23.01は「2023年1月リリースのバージョン」という意味です)。この土地利用土地被覆図(HRLULC-Okinawa v23.01、以下沖縄島v23.01)は、日本域の高解像度土地利用土地被覆図(HRLULC-Japan v21.11、以下日本v21.11)をベースとして、沖縄島で多く見られる農業用温室・サトウキビ畑・パインアップル畑・マングローブ林を加え、沖縄島ではほとんど見られない落葉広葉樹・落葉針葉樹・竹林を除いた13カテゴリで分類されています。衛星画像に日本v21.11とGoogle社のDynamic Worldのそれぞれの確率マップと農林水産省の筆ポリゴンを加えて特徴量とし、Random Forestsと呼ばれる機械学習手法で分類を行うことで、全体精度88.45%を達成し、高精度な沖縄島の土地利用土地被覆図を実現しています。

今後は現在運用中の地球環境変動観測衛星(GCOM-C)および陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)や、打ち上げ予定の先進レーダ衛星(ALOS-4) の活用しつつ地域に特化した土地被覆図の作成についても引き続き検討をしていきます。

2. 使用したデータと前処理方法

  • データ1. Sentinel-1/C-SARの画像: COPERNICUS/S1_GRDとしてGoogle Earth Engine(以下GEE)で提供されているプロダクトを使用しました。3ヶ月毎に中央値コンポジット画像を作成し、バンド演算を行ないました。
  • データ2. Sentinel-2/MSIの画像: COPERNICUS/S2としてGEEで提供されているプロダクトを使用しました。雲マスク処理をおこなった後、3ヶ月毎の中央値コンポジット画像を作成し、バンド演算をおこないました。
  • データ3. 日本ver. 21.11の確率マップ: 日本v21.11の中間データである”分類確率”を使用しました。リサンプリングをおこないました。
  • データ4. DW確率マップ: GEE上でGOOGLE/DYNAMICWORLD/V1として分類結果と共に提供されている”class probabilities”(注1)について、2020年の1年分を平均値コンポジットした画像を作成し、使用しました。
  • データ5. 筆ポリゴン農地区画:「筆ポリゴンデータ」(注2; 2021年のベクターデータ)をラスタ化し、10 m解像度に平均画素法でリサンプリングしました。
  • データ6. リファレンスデータ: 地上踏査およびインターネット上の情報より判読し、取得しました(約3,000地点)。

注1: "This dataset is produced for the Dynamic World Project by Google in partnership with National Geographic Society and the World Resources Institute." (CC-BY 4.0; Terms of Use: https://developers.google.com/earth-engine/datasets/catalog/GOOGLE_DYNAMICWORLD_V1#terms-of-use)

注2: 出典: 「筆ポリゴンデータ」(農林水産省)(2021年9月3日ダウンロード; 利用規約: https://www.maff.go.jp/j/tokei/porigon/attach/pdf/hudeporidl-1.pdf)


データ1-5を組み合わせることで表1の特徴空間を構成しました。


表1 インプットデータおよび特徴量

特徴量の名前についている1-3、4-7、7-9、10-12といったラベルはコンポジット画像のコンポジット期間を意味します
(1-3: 2020年1月-3月; 4-7: 2020年4月-6月; 7-9: 2020年7月-9月;10-12: 2020年1月-3月)。

表1 インプットデータおよび特徴量

3. 分類・後処理

全リファレンスデータを教師データとしRandom Forestsによって学習・分類をおこないました。さらに後処理として目視検品をおこない、明らかな異常値を手動で修正・編集しました(分類後編集)。

4. データ形式

対象期間 2020年
座標系 等緯度経度座標系 (WGS84)
対象領域 北緯 26°03'35.808" – 26°53'25.904"、東経 127°37'11.889" – 128°21'00.108"
構造 1バイト符号なし整数、9246画素 x 8127画素(1画素はおよそ10m x 10mに相当)
分類体系 表2(各ピクセルに該当するカテゴリのID番号が格納されています)
ファイル名 LC_Okinawa.tif
格納形式 GeoTIFF形式

表2 沖縄島ver. 23.01の分類体系

表2 沖縄島ver. 23.01の分類体系

5. 精度検証

リファレンスデータを用いて、K分割交差検証(K=5)をおこないました。混合行列は表3の通りです。13カテゴリで全体精度88.45%を得ました。精度検証については、検証点がランダムサンプリングでない理由等で誤差が生じることをご留意ください。またこちらの精度検証は分類後編集の前に行いました。従って最終成果物の精度はこれ以上であると考えられます。

表3 混合行列 (沖縄v23.01)

表3 混合行列 (沖縄v23.01)

図1に沖縄島域高解像度土地利用土地被覆図v23.01の全体図、図2~5にRGB画像(Sentinel-2)と日本域高解像度土地利用土地被覆図v21.11との比較例を示します。分類体系を沖縄島に最適化したことにより、沖縄島の土地利用土地被覆をより詳細に表現できるようになりました。


HRLULC ver.23.01
図1: 沖縄域高解像度土地利用土地被覆図バージョン23.01。図中に示したA–Dは図2~5で拡大した範囲である。

拡大図1
図2 豊見城市饒波の農業用温室 (図1の地点A)。左: Sentinel-2 RGB画像、中央: 日本v21.11、右: 沖縄島v23.01。
拡大図2
図3 糸満市与座のサトウキビ畑 (図1の地点B)。左: Sentinel-2 RGB画像、中央: 日本v21.11、右: 沖縄島v23.01。
拡大図3
図4 東村のパインアップル畑 (図1の地点C)。左: Sentinel-2 RGB画像、中央: 日本v21.11、右: 沖縄島v23.01。
拡大図4
図5 東村慶佐次川のマングローブ林 (図1の地点D)。左: Sentinel-2 RGB画像、中央: 日本v21.11、右: 沖縄島v23.01。

6. 参考文献

  • 泉澤遥, 平山颯太, 水上陽誠, 奈佐原 (西田) 顕郎 (2023) 統合的ローカライゼーションによる沖縄島域高解像度土地利用土地被覆図の作成, 日本リモートセンシング学会誌, 43(2), pp. 73-85.
  • 平山颯太, 田殿武雄, 大木真人, 水上陽誠, 奈佐原(西田) 顕郎, 今村功一, 平出尚義, 大串文美, 道津正徳, 山之口勤 (2022): JAXA高解像度土地利用土地被覆図日本域21.11版 (HRLULC-Japan v21.11) の作成. 日本リモートセンシング学会誌, 42(3), 199-216
  • Brown, C.F., Brumby, S.P., Guzder-Williams, B. et al. Dynamic World, Near real-time global 10 m land use land cover mapping. Sci Data 9, 251, 2022, doi:10.1038/s41597-022-01307-4
  • 泉澤遥, 平山颯太, 水上陽誠, 奈佐原顕郎:補助データを活用した沖縄本島土地被覆図の精度向上, 日本リモートセンシング学会第73回学術講演会論文集, pp. 13-16, 2022