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日本域高解像度土地利用土地被覆図【2014~2016年】
(2018年3月リリース / バージョン18.03) 

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1. 概要

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 地球観測研究センター (EORC) では、ALOS/AVNIR-2高解像度土地利用土地被覆図の整備で開発した分類アルゴリズムをベースに、最新の土地被覆情報を把握すべく、日本全域(一部の離島を除く)の土地被覆分類図(以下「本プロダクト」)を作成しました。本プロダクトは、植生調査や森林管理、土砂災害などの調査資料等の実利用分野や生態系研究等、様々なアプリケーションの基盤情報として活用することを目的として作成しています。

入力に用いたLandsat-8/OLIデータは、USGSで配布されているLandsat-8データ(Collection-1)の地表面反射率を使用しています。また、分類カテゴリはこれまでのALOS/AVNIR-2高解像度土地利用土地被覆図の項目と同様にすることにより継続性を担保しました。また、本プロダクトは2017年12月に打ち上げられ現在運用中の地球環境変動観測衛星 (GCOM-C)による土地被覆分類図への利用拡大を視野に入れております。

今回リリースするバージョン18.03(v18.03)は、前バージョンであるバージョン16.09(v16.09)とは異なる期間を対象にしました。すなわち、前バージョン(v16.09)は2008年前後(2006年から2011年までの期間)の土地被覆を表現していたのに対して、本バージョンはその約7年後の2015年前後(2014年から2016年の期間)の土地被覆を対象としたものです。

新たな対象期間に対応するため、前バージョンとは違う入力データを使用しました。それに伴い、以下の変更と改善を実施しました。
  • Landasat-8衛星データ入力への対応
  • 雲マスクの適用
  • 地形効果補正(C-correction)の導入(AVNIR-2HLPは地形効果適用済みだったが、Landsat-8には適用済みプロダクトが存在しないため)
  • 教師データおよび検証データの目視による再フィルタリングの実施
その結果、コンフュージョンマトリクスによる全体精度は81.6%でした。

2. 使用したデータ

  • データ1. Landsat-8 OLI (Collection-1) 4,257シーン
  • データ2. 国土地理院数値地形データ 10m解像度
  • データ3. 国土地理院数値地形データ 10m解像度から求めた傾斜のラスターマップ
  • データ4. ALOS-2/PALSAR-2 25m解像度 2015年 モザイクデータセット
  • データ5. Suomi NPP 夜間光データ 500m解像度
  • データ6. オープンストリートマップによる道路網ベクターデータ (© OpenStreetMap contributors) から求めた、道路からの距離のラスターマップ
  • データ7. 教師情報 (SACLAJデータベースより。地上踏査および、インターネット上の情報判読) 35,000地点
  • データ8. 北海道市町村ごとの水稲作付の有無情報 (出典: 農林水産省による「農林水産関係市町村別統計(平成26年産 水稲 北海道)」)
  • データ9. ALOS PRISM Digital Surface Model (DSM)付随の海マスク情報

3. 分類方法

データ1とデータ2より斜面補正したLandsat-8 OLIデータを作成し、その後、以下を統合した、ベイズ推定と分類後編集 (目視) により分類しました。

  • データ1(斜面補正済)とデータ9を用いた、カーネル密度による尤度推定 (橋本ら 2014)
  • データ2を用いた、Landsat-8 OLI観測時の地形性の日影の分布推定
  • データ3~データ7を用いたカーネル密度による事前確率推定
  • データ7~データ9を用いた事前確率推定マップ

4. データ形式

  • 座標系: 緯度経度直交座標系 (GRS80楕円体、ITRF94)
  • 格納単位: 緯度経度1度単位のグリッドタイル、4,000ピクセル×4,000ライン
  • メッシュサイズ: (1/4,000) 度 × (1/4,000) 度 (およそ30m × 30mに相当)
  • ファイル命名規約: 例えば、LC_N45E142.tifは北緯45から46度、東経142から143度を示します。
  • 格納形式: GeoTIFF形式
  • 対象期間: 2014年~2016年。この期間の特定時点ではなく、平均的な状況を表します。

各画素のディジタル値は分類カテゴリのID番号であり、下記の通りです:

  • #0: 未分類 (Unclassified)
  • #1: 水域 (Water bodies)
  • #2: 人工構造物 (Built-up)
  • #3: 水田 (Paddy field)
  • #4: 畑地 (Cropland)
  • #5: 草地 (Grassland)
  • #6: 落葉広葉樹 (DBF)
  • #7: 落葉針葉樹 (DNF)
  • #8: 常緑広葉樹 (EBF)
  • #9: 常緑針葉樹 (ENF)
  • #10: 裸地 (Bare)
  • #255: データなし (No data)

5. 精度検証および結果

SACLAJデータベースより、教師情報とは独立の約3,000箇所の検証情報を用いて、本データ (v18.03) の精度検証を行った結果、10カテゴリで全体精度81.6%、κ係数0.8を得ました (表1; 注1)。
表1 コンフュージョンマトリクス (v18.03)
  Validation User's
accuracy (%)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 TOTAL
Classified 1 276 1 1 0 0 0 0 1 3 0 282 97.9
2 3 247 2 7 1 0 0 0 0 35 295 83.7
3 0 5 284 5 1 1 1 0 0 1 298 95.3
4 1 3 31 218 26 4 3 1 1 6 294 74.1
5 0 2 6 14 240 14 0 8 0 5 289 83.0
6 0 0 0 0 9 236 29 13 11 0 298 79.2
7 0 0 0 1 4 24 252 4 14 0 299 78.6
8 0 1 0 1 2 15 7 207 49 0 282 73.4
9 0 0 0 0 1 6 4 24 264 0 299 88.3
10 15 43 6 14 23 8 3 6 7 161 286 56.3
TOTAL 295 302 330 260 307 308 299 264 349 208 2,922 ---
Producer's
accuracy (%)
93.6 81.8 86.1 83.8 78.2 76.6 84.3 78.4 75.6 77.4 --- Overall accuracy:
81.6%

参考情報として、前バージョン(v16.09)の精度検証結果を掲載します(表2; 注1)

表2 精度比較用のコンフュージョンマトリクス (v16.09)
  Validation User's
accuracy (%)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 TOTAL
Classified 1 193 1 1 0 0 0 0 0 0 2 197 98.0
2 2 222 2 1 0 0 0 0 0 2 229 96.9
3 1 2 260 18 6 2 0 1 0 1 291 89.3
4 1 2 28 76 41 4 1 9 1 5 168 45.2
5 0 0 10 14 42 4 2 8 0 1 81 51.9
6 0 1 2 8 5 74 13 15 13 0 131 56.5
7 0 0 0 0 1 1 11 0 1 0 14 78.6
8 0 0 0 0 1 5 1 32 16 0 55 58.2
9 1 0 0 1 0 11 4 30 167 0 214 78.0
10 0 2 1 1 3 0 0 0 0 22 29 75.9
TOTAL 198 230 304 119 99 101 32 95 198 33 1,409 ---
Producer's
accuracy (%)
97.5 96.5 85.5 63.9 42.4 73.3 34.4 33.7 84.3 66.7 --- Overall accuracy:
78.0%
注1: 精度検証はランダムサンプリングとは言いがたいため、κ係数も含めて、あくまで参考に留めておくことが望ましい。

次に、図1~図3に高解像度土地被覆図v18.03の一例を示します。

図1: 日本全域の高解像度土地利用土地被覆図 (Ver.18.03)
日本全域の高解像度土地利用土地被覆図 (Ver.18.03)
図2: AVNIR-2からの土地被覆の経年変化(つくば市研究学園地区)
図2: AVNIR-2からの土地被覆の経年変化(つくば市研究学園地区)

左図がv16.09(AVNIR-2使用)、右図がV18.03(Landsat-8/OLI使用)

つくばエクスプレス開通に伴う開発が進行する様子が時系列解析結果から確認されます。

図3: AVNIR-2からの土地被覆の経年変化(秋田市森吉山ダム)
図3: AVNIR-2からの土地被覆の経年変化(秋田市森吉山ダム)

左図がv16.09(AVNIR-2使用)、右図がV18.03(Landsat-8/OLI使用)

森吉山ダム完成(2011年)前後の様子が時系列解析結果から確認されます。

6. 参考文献

  • 橋本秀太郎, 田殿武雄, 小野里雅彦, 堀雅裕 (2014) 多時期光学観測データを用いた高精度土地被覆分類手法の開発, 日本リモートセンシング学会誌, 34 (2), pp.102-112.
  • 小林健一郎,奈佐原顕郎,田殿武雄,大串文美,道津正徳,段理紗子 (2016) 多時期土地被覆情報データセット“SACLAJ”の開発,日本リモートセンシング学会第61回学術講演会論文集,pp.89-90.[口頭発表資料]
  • 片木仁・奈佐原顕郎・小林健一郎・道津正徳・田殿武雄 (2018) 多時期光学観測画像を用いた高解像度土地利用・土地被覆図における,山影処理による誤分類の低減, 日本リモートセンシング学会誌, 38(1), 30-34
  • Teillet, P.M. et al. (1982) On the slope-aspect correction of multispectral scanner data, Can. J. Remote Sensing 8 , 84-106.

Acknowledgements