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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるニュージーランド地震の緊急観測結果

2011年2月22日(火)午前8時51分頃(日本時間,以下同じ)にニュージーランド南部のクライストチャーチ付近でマグニチュード(M)6.3の地震が発生し、多数の建物が倒壊し多くの死傷者がでています。この地震により、クライストチャーチに滞在中の日本人学生らが被災し、安否の確認が急がれています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2011年2月23日(水)7時33分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*による観測を実施しました。

図1:ニュージーランド南部クライストチャーチ付近のアブニール・ツー画像(ポインティング角度: 12度)、2011年2月23日7時33分頃(日本時間)観測

図1: 今回観測した画像全体 (クリックで拡大画像へ)
観測日時: 2011年2月23日7時33分頃(日本時間)
センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー)
ポインティング角: 12°

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。
白く見えるのは雲で、雲の切れ間から市街地を確認できますが、クライストチャーチ付近は雲に覆われており、非常に残念ですが被災した様子を確認することはできませんでした。

図2:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測されたニュージーランド南部クライストチャーチの大聖堂付近(約10km×10kmのエリア。左:地震後(2011年2月23日)、右:地震前(2010年11月1日))

図2: 大聖堂付近(約10km×10kmのエリア)
左: 地震後(2011年2月23日)、右: 地震前(2010年11月1日)
(クリックで拡大画像へ)

図2は災害後の2011年2月23日および災害前の2010年11月1日に観測された画像から、大聖堂付近を拡大したものです。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と雲(白色)が明瞭に区別できるため、地表面の様子をとらえることができます。今回観測した画像は、雲の合間から市街地が見えましたが、明瞭な被災箇所を確認するにはいたりませんでした。

取得された画像は、国際災害チャーターを通じてニュージーランド民間防衛危機管理省(USGS)、COGIC/French Civil Protection、センチネルアジアを通じて国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)に提供する予定です。
JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

* 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、衛星進行方向に対して東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は西側から12度、地震前の2010年11月1日は0度で取得しました。

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