防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(29)

2011年3月11日14時46分頃(日本時間、以下同じ)、東北地方の太平洋沖(北緯38.32°、東経142.37°、深さ32km)を震源とする、国内観測史上最大となるマグニチュード9.0の地震が発生しました(地震の規模・位置については米国地質調査所(USGS)による発表を参照)。宮城県栗原市で震度7、岩手県から栃木県にかけての広い範囲で震度6強が観測されるなど、極めて強い揺れが広範囲に渡って観測されました。この地震の影響で発生した津波は、震源に近い東北地方の太平洋側では最大で10メートル以上の高さに達したと見られ、沿岸地域に甚大な被害を与えています。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による現地の緊急観測を実施しています。ここでは、震災後の2011年4月7日観測のデータから浸水域を抽出した結果を報告します。

(1)2011年4月7日の浸水域抽出結果

震災後の2011年4月7日10時03分頃に観測されたデータと震災前の2010年11月20日観測のデータを比較することにより、津波により浸水し、引き続き湛水していると思われる領域を抽出しました。図1に観測領域全体を、図2、3にそれぞれ宮城県、福島県の湛水域抽出結果画像を黄線にて示します。また、各地域毎の湛水域の面積を表1に記します。

図1は、PALSARでの災害前の2010年11月20日観測の画像を赤に、災害後の2011年4月7日観測の画像を緑と青に割り当てたカラー合成画像です。
図1: PALSAR災害前後のカラー合成画像全体図
図1: PALSAR災害前後のカラー合成画像全体図 (R: 2010年11月20日観測 入射角34.3度、GB: 2011年4月7日観測 入射角34.3度) (クリックで拡大画像へ)
表1:2011年4月7日PALSARデータから判読された市町村別の湛水面積
地域名 市町村 4月7日
PALSAR湛水域
[km2]
宮城県域 仙台市(宮城野区,若林区) 9.0
名取市 7.3
岩沼市 10.0
亘理町 1.9
山元町 6.8
福島県域 相馬市、新地町 10.6
南相馬市 18.0
浪江町 3.5
双葉町 1.3
大熊町 0.0
富岡町 0.4
楢葉町 0.4
広野町 0.3
いわき市 0.5
図2は、宮城県沿岸部の湛水状況を示しています。依然として東松島市、仙台市から山元町の沿岸部で湛水していると判読された領域が広がっています。しかし、PALSARによる3月13日の湛水域判読結果(陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(11)参照)に比べると、その面積が減少してきていることがわかります。
図2: 宮城県沿岸域の湛水状況拡大図
図2: 宮城県沿岸域の湛水状況拡大図 (クリックで拡大画像へ)
図3は、福島県沿岸域の湛水状況を示した図になります。図2と同様、新地町~双葉町付近にかけては依然として湛水域が残っているという結果が得られております。しかしこちらも宮城県の場合と同様、PALSARによる3月13日の湛水域判読結果(陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(11)参照)に比べると、その面積が減少傾向を示していることがわかります。
一方、大熊町以南の地域においては、双葉町以北に比べて湛水域と判読された面積は大きくありません。津波により押し寄せた海水は、これらの地域においてはほとんど引いてしまっているものと予想されます。
図3: 福島県沿岸域の湛水状況拡大図
図3: 福島県沿岸域の湛水状況拡大図 (クリックで拡大画像へ)

JAXAでは今後も「だいち」による当該地域への観測を継続していく予定です。

なお、取得された画像は、内閣府を始めとする防災関係省庁並びに地方自治体等に提供しています。

*1 パルサー(PALSAR):

フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ。衛星から発射した電波の反射を受信するマイクロ波レーダで、夜や曇天時も撮像が可能です。

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