防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(26)

2011年3月11日14時46分頃(日本時間、以下同じ)、東北地方の太平洋沖(北緯38.32°、東経142.37°、深さ32km)を震源とする、国内観測史上最大となるマグニチュード9.0の地震が発生しました(地震の規模・位置については米国地質調査所(USGS)による発表を参照)。宮城県栗原市で震度7、岩手県から栃木県にかけての広い範囲で震度6強が観測されるなど、極めて強い揺れが広範囲に渡って観測されました。この地震の影響で発生した津波は、震源に近い東北地方の太平洋側では最大で10メートル以上の高さに達したと見られ、沿岸地域に甚大な被害を与えています。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2011年4月6日22時22分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による現地の緊急観測を実施しました。本観測では2011年2月19日に同じ軌道から取得した画像と比較し、東日本大震災に伴った地殻変動の検出を試みていますが、ここではその際に得られたコヒーレンス画像と呼ばれるデータより土地状態の変化について解析を行った結果について示します。

図1は今回観測した範囲を示したもので、赤枠がPALSARでの観測範囲を示しています。
図1: 全体図
図1: 全体図
コヒーレンス画像とは、2つの信号がどれくらい類似しているかを示すもので、観測場所の(土地)状態が観測の間にどのぐらい変化したかを表します。その結果、変化が大きい場所はコヒーレンスの値が低く(暗く)なり、変化が小さい場所では値が高く(明るく)なります。例えば、都市のように変化が小さい場所ではコヒーレンス値は高くなり、冬の山岳域のように積雪の多い場所ではコヒーレンス値は低くなります。図2の画像において南半分と北半分でコヒーレンス値に大きな差が見られ、北側ではコヒーレンス値が低くなっています。これは地震前(2011/02/19)と地震後(2011/04/06)の間で積雪による土地状態の変化があった事を反映していると思われます。
図2: PALSARコヒーレンス画像
図2: PALSARコヒーレンス画像(クリックで拡大画像へ)
図3は、図2のうち東京湾付近を拡大したものを表しており、黄線で囲んだ部分の内側(千葉県沿岸部)にコヒーレンス値の低い領域が見られます。この領域は昭和30年代から50年代にかけて東京湾を埋め立てて造成された場所で、今回の大震災に伴って液状化現象が発生し建物等に大きな被害が出ている事が報じられています。今回検出された千葉県沿岸部でのコヒーレンス値の低下は、埋立地において発生した液状化現象に伴う土地状態の変化を捉えている可能性があります。
図3: 東京湾付近拡大図
図3: 東京湾付近拡大図(クリックで拡大画像へ)

JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

なお、取得された画像は、内閣府を始めとする防災関係省庁並びに地方自治体等に提供しています。

*1 パルサー (PALSAR):

フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ。衛星から発射した電波の反射を受信するマイクロ波レーダで、夜や曇天時も撮影が可能です。

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