防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(2)

2011年3月11日14時46分頃、東北地方の太平洋沖で国内観測史上最大となるマグニチュード9.0の地震が起こりました。宮城県栗原市で震度7、仙台市で震度6強、東京都で震度5強が観測されるなど、広範囲で強い揺れが観測されました。また、同日15時15分頃に茨城県沖でマグニチュード7.4の地震が発生するなど、余震も相次いで起こっています。この地震の影響で発生した津波は、震源に近い東北地方の太平洋側では最大で10メートル以上の高さに達したと見られ、沿岸地域に甚大な被害を与えています。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2011年3月13日22時11分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)により現地の緊急観測を実施しました。また、ドイツ宇宙機関のXバンドレーダー(TerraSAR-X)を用いた緊急観測も実施いたしました。

図1は今回観測した画像全体を示したもので、赤枠がPALSARでの観測位置を示しています。

図2は、PALSARでの災害前の2008年6月21日観測の画像を赤に、災害後の2011年3月13日観測の画像を緑と青に割り当てたカラー合成画像です。
図1: 全体図
図1: 全体図
図2: PALSAR災害前後のカラー合成画像全体図
図2: PALSAR災害前後のカラー合成画像全体図 (R: 2008年6月21日観測 入射角47.8度 GB: 2011年3月13日観測 入射角46.6度) (クリックで拡大画像へ)
図3は、(a)が仙台市、(b)が亘理町、(c)が相馬市、(d)が南相馬市のカラー合成画像です。海岸付近の赤色に変化している箇所は災害後にレーダー反射が弱くなったところで、津波で冠水したものと考えられます。
図3: 宮城県から福島県の各地の拡大図(R:地震前、B/G:地震後)
図3: 宮城県から福島県の各地の拡大図(R:地震前、B/G:地震後) 各々画像は10km四方の大きさである (クリックで拡大画像へ)

図4は仙台市からいわき市にかけての海岸線全体の様子を示しています。画像中央より上の海岸線全域が赤く色づいていることがわかります。

JAXAは、国際災害チャータの枠組みにおいて観測されたドイツ宇宙機関(DLR)が運用するTerraSARデータの提供を受け、宮城県仙台市付近の解析を実施いたしましたので、その結果を図5に示します。画像中央から下部の沿岸域において濃い赤の箇所が津波被災を受けた所と考えられます。
図4: 観測範囲内の海岸線全体(R:地震前、B/G:地震後)
図4: 観測範囲内の海岸線全体(R:地震前、B/G:地震後) (クリックで拡大画像へ)
図5: DLRのTerra-SAR-Xによる仙台市の津波被災領域抽出
図5: DLRのTerra-SAR-Xによる仙台市の津波被災領域抽出 (R:2010年10月20日、G/B:2011年3月13日観測、入射角37.3度) (クリックで拡大画像へ)

JAXAでは今後も「だいち」による当該地域への観測を継続していく予定です。

*1 パルサー(PALSAR):

フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ。衛星から発射した電波の反射を受信するマイクロ波レーダで、夜や曇天時も撮影が可能です。

©JAXA EORC