防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)によるパキスタン・フンザ川の土砂崩れにともなう堰止湖の緊急観測結果

2010年1月4日、パキスタン・フンザ地方の渓谷で土砂崩れが発生し、インダス川の支流であるフンザ川を堰き止めました。これにより雪解け水や雨が行き場を失い、自然のダム湖が発生し、フンザ川沿いの村やパキスタン北部と中国西部を結ぶ幹線道路(カラコルム・ハイウエー)を水没させています。報道によれば、湖は現在も拡大しており、ダムの決壊にともなう洪水が危惧されています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年5月29日2時37分頃 (日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による当該地域の観測を実施しました。本観測で得られた画像と、2006年5月17日に取得した同じ軌道から得られた画像とを比較し、自然ダム湖の拡大状況を確認しました。
図1: 全体図
図1: 全体図 赤枠がフンザ地区の位置であり、図2の領域を示す。
図2は、PALSARによるフンザ地方の変化抽出画像です。この画像は土砂崩れの発生前(2006年5月17日観測)のPALSAR画像を赤色に、土砂崩れによる自然ダム湖形成後(2010年5月29日観測)のPALSAR画像を緑色と青色に着色してカラー合成したものです。
図2: 堰止湖形成前後のPALSAR変化抽出画像
図2: 堰止湖形成前後のPALSAR変化抽出画像 (クリックで拡大画像へ)
図3は自然ダム湖付近を拡大したものです。SARでは一般に、水面などの平坦な面は暗く写る傾向にあります。そのため、ダム形成に伴い水に覆われた地域は、ダム形成前の画像では地肌が写り明るく、形成後の画像は広がった水面のため暗く写ります。よって、図中水に覆われた(水没した)地域は赤色で表示されます。5月30日に実施されたAVNIR-2による観測により得られた自然ダム湖の形状とほぼ同じ領域が、PALSARにおいても抽出されることがわかります。また、拡大図左下には青い色で覆われた部分がみられ、ここが土砂崩れの発生箇所であることが判読できます。
図3: 二時期のPALSARの重ね合わせ画像
図3: 二時期のPALSARの重ね合わせ画像
©JAXA EORC