防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)によるマヨン山火山活動にともなう観測結果(2)

フィリピン・ルソン島アルパイ州のマヨン山において、2009年12月14日から火山活動が活発化し、20日には火口から流れ出た溶岩が確認されました。一時は数日内に大規模な噴火の可能性があるとし、フィリピン火山監視当局から警戒レベル4が発令されました。幸いにも現在の警戒レベルは2に引き下げられ、活動は比較的低調になっています。

宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)では、2010年1月25日午前11時6分頃(日本時間、以下同じ)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による当該地域の観測を実施しました。本観測で得られた画像と、2008年10月22日に取得した同じ軌道から得られた画像とを比較し、火山活動にともなう被害域抽出を実施しました。

当該地域は2010年1月20日にも観測されており、図1の青枠がそのときの観測範囲を示しています。図1の赤枠が今回(2010年1月25日)の範囲で、前回とは異なる軌道から観測しています。
図1: 観測範囲
図1: 観測範囲
図2は、PALSARによる溶岩流出前後の変化抽出画像です。この画像は溶岩流出後(2010年1月25日観測)のPALSAR画像を赤色に、溶岩流出前(2008年10月22日観測)のPALSAR画像を緑色と青色に着色してカラー合成したものです。地表面の変化を反映し、レーダの反射強度が変化する性質があります。画像中の赤や青に色づいている領域は、2枚の画像のレーダの反射強度が変化したことを表し、溶岩流出前後で何らかの変化が発生したことを表します。
図2: 溶岩流出前後のPALSAR変化抽出画像
図2: 溶岩流出前後のPALSAR変化抽出画像 (クリックで拡大画像へ)
図3左は図2のマヨン山周辺を拡大した画像です。溶岩流出によりレーダの反射が強くなり、溶岩流跡として赤色が強調されています。山頂付近から長さ5 km程度、幅にして最大1 km程度の溶岩が流出したと推定されます。これは、図3右の前回の観測結果から推定される溶岩の流出範囲と同様の結果です。
図3: マヨン山周辺の変化抽出画像
図3: マヨン山周辺の変化抽出画像 左:今回の観測結果、右:前回の観測結果(図中赤い矢印はレーダ照射方向を示す) (クリックで拡大画像へ)
図4は図3の黄色枠内の拡大画像です。2010年1月25日観測データを用いた変化抽出画像と2010年1月20日観測データを用いた変化抽出画像を重ねて、アニメーション表示しました。2枚の画像は、約1秒で切り替わります。観測した軌道が違うため一部見え方が異なる箇所がありますが、溶岩が流れ出た範囲は良く一致していると言えます。
図4: 変化抽出画像(溶岩流跡)のアニメーション画像
図4: 変化抽出画像(溶岩流跡)のアニメーション画像 (2010年1月25日観測データを用いた画像と2010年1月20日観測データを用いた画像が切り替わります)

今回の結果は、前回の結果以上の情報を提供するものではありません。しかしながら、前回と同じ結果であるということは、画像から推定された溶岩の流出範囲が正しかったということの裏づけとなるものです。

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