防災・災害

「だいち2号」によるカリブ海沿岸ハリケーン被害の観測結果について

Posted: Sep. 12, 2017, 9:00 (UTC)
Updated: Sep. 14, 2017, 8:00 (UTC)

概要

  • 8月下旬からカリブ海沿岸を複数のハリケーンが通過し大きな被害を与えた。
  • JAXAは「だいち2号」による緊急観測を実施し、データを関係機関に提供した。
  • 9月8日の観測画像からドミニカ共和国内に浸水している可能性の高い場所を検出した。
  • 9月12日の観測画像から米国フロリダ州西海岸に浸水している可能性の高い場所を検出した。

米国カリブ海沿岸および近隣諸国において2017年8月下旬から発生している一連のハリケーン被害に関連して、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は国際災害チャータの要請に基づき、「だいち2号」(ALOS-2)搭載の合成開口レーダ、パルサー2(PALSAR-2)により図1の範囲を観測し、データを関係機関に提供しました。

図1)PALSAR-2の観測範囲

図1)PALSAR-2の観測範囲

ドミニカ共和国北部|2017年9月8日(世界標準時、以下同じ)

図2は2017年9月8日にドミニカ共和国北部を高分解能モード(分解能10m、観測幅70km)で観測したデータです。青い部分は画像処理によって推定された浸水域です。複数の過去画像(2014/10/12, 2015/3/1, 8/30, 10/11, 2016/2/28, 10/9, 2017/2/26)との差分を計算することで、耕作物の成長など通常の変化をなるべく除去しています。拡大し過去画像と比べてみると(図3)、河川沿いの耕作地と思われる部分に多くの浸水域が見られることが分かります。この観測によって沿岸域ではなく内陸沿いにこのような被害が多いことが示唆されました。
図2)ドミニカ共和国のPALSAR-2観測画像(2017/9/8)

図2)ドミニカ共和国のPALSAR-2観測画像(2017/9/8)

図3)ドミニカ共和国PALSAR-2観測画像の拡大図(災害前後:2017/2/26, 9/8)

図3)ドミニカ共和国PALSAR-2観測画像の拡大図(災害前後:2017/2/26, 9/8)

KMLファイル(Google Earthで開くことができます)

米国フロリダ州西海岸|2017年9月12日

図4は2017年9月12日に米国フロリダ州西海岸を高分解能モード(分解能10m、観測幅70km)で観測したデータです。青い部分は画像処理によって推定された浸水域です。複数の過去画像(2015/1/20, 9/1, 2016/1/19, 8/30)との差分を計算することで、通常の土地被覆変化の影響をなるべく除去しています。チャサホウィッツカ川河口付近(図4の(A))を拡大し過去画像と比べてみると、海岸一帯が河川と同じような暗い色に変化していて、通常よりも浸水しているのではないかと推測されます(図5)。内陸のマイオークカ川州立公園付近(図4の(B))では、本来の水路や湿地帯の周辺に新たな浸水域が生じているのが推測されます(図6)。この観測によってフロリダ州西海岸では無数の浸水域がハリケーンによって生じていることが示唆されました。
図4)米国フロリダ州西海岸のPALSAR-2観測画像(2017/9/12)

図4)米国フロリダ州西海岸のPALSAR-2観測画像(2017/9/12)(クリックで拡大画像へ)

図5)PALSAR-2観測画像のチャサホウィッツカ川河口付近(図4(A))の拡大図

図5)PALSAR-2観測画像のチャサホウィッツカ川河口付近(図4(A))の拡大図(クリックで拡大画像へ)

図6)PALSAR-2観測画像のマイオークカ川州立公園付近(図4(B))の拡大図

図6)PALSAR-2観測画像のマイオークカ川州立公園付近(図4(B))の拡大図(クリックで拡大画像へ)

KMLファイル(Google Earthで開くことができます)

© JAXA EORC