防災・災害

「だいち2号」による桜島噴火の観測結果について

概要

  • 干渉処理の結果、有意な地殻変動は検出されなかった。
  • 噴火に伴う噴出物が堆積したと考えられる領域が見られた。

2016年2月5日18時56分頃、鹿児島県の桜島で約5か月ぶりの爆発的噴火が発生しました。気象庁などからの要請に基づき、JAXAは2月8日に「だいち2号」(ALOS-2) 搭載のLバンド合成開口レーダ、パルサー2 (PALSAR-2) による観測を実施し、国土地理院をはじめとする防災対応機関へデータを提供しました。また、JAXAでも独自に干渉SAR解析を行い、地殻変動などの抽出を試みました。図1は今回のPALSAR-2による観測範囲を示したものです。

図1:2016年2月8日PALSAR-2の観測範囲 (赤枠)

図1:2016年2月8日PALSAR-2の観測範囲 (赤枠)

図2は今回2016年2月8日12時19分頃 (日本時間) と、2015年11月30日のほぼ同時刻の同じ条件による観測データを用いた干渉画像です。この画像では色は位相差を表し、地殻変動があると色が緑色から変化しますが、この結果では有意な地殻変動は見られず、島全体にわたる大きな地殻変動はなかったと考えられます。一方、南岳山頂付近の東側では差し渡し約1kmにわたって干渉性が低下し位相の差が算出できない領域(白枠内、斜線部)が見られ、これは噴火に伴う噴出物が堆積した領域であると考えられます。この非干渉エリアの推定には、上記のデータのほかに2015年11月16日の観測データも干渉性の比較のために使用しました。

図3は、図2の画像を陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS) による全世界デジタル3D地形データ (AW3D) を用いて立体的に表現した鳥瞰図です。

図2:PALSAR-2による干渉画像

図2:PALSAR-2による干渉画像(クリックで拡大画像へ)

図3:PALSAR-2による干渉画像をもとにした鳥瞰図

図3:PALSAR-2による干渉画像をもとにした鳥瞰図(クリックで拡大画像へ)

図4は、ALOS-2搭載の地球観測用小型赤外カメラ (CIRC) によって2016年2月5日23時44分頃 (日本時間) に観測された桜島周辺の熱赤外線画像です。熱赤外画像は大まかな地表面温度を表し、緑色★で記した山頂火口に向かい温度が下がる傾向が確認できます (図4)。
図4:ALOS-2搭載CIRCによる熱赤外線観測画像

図4:ALOS-2搭載CIRCによる熱赤外線観測画像 (桜島付近・2016年2月5日)

今回噴火のあった南岳付近の拡大図を図5に示します。南岳昭和火口付近の最も高温の画素は周囲より温度が約17℃高く、地表面の一部が高温となっていることを示しています。また、この高温域はPALSAR-2の非干渉領域とおおむね一致し、噴出物が分布している事を示唆します。
図5:ALOS-2搭載CIRCによる熱赤外線観測画像

図5:ALOS-2搭載CIRCによる熱赤外線観測画像 (桜島南岳付近・2016年2月5日)

参考

JAXAの火山噴火に対する観測の取り組み

JAXAは気象庁地震火山部との共同研究協定に基づき、火山噴火予知連絡会に設置された「衛星解析WG(火山WG)」により監視・観測体制の充実等が必要な火山と指定された47火山について、だいち2号による定期的な観測を実施しています。また、噴火等の異常時には火山WGからの要請を受け、だいち2号による緊急観測を実施しています。
© JAXA EORC