防災・災害

「だいち2号」によるネパール地震の観測結果について (3)

概要

  • 「だいち2号」の2015年4月26日観測画像から大規模な崩落範囲の抽出を試みた。
  • 代表的なヒマラヤのトレッキングルートの一つであるランタン村の崩落状況を確認した。
  • 崩落の規模は幅約1500m、長さ約700mにわたることが分かった。
  • 得られた情報は防災対応関係機関へ提供しています。

2015年4月25日 (現地時刻) にネパールで発生した地震について、宇宙航空研究開発機構 (以下、JAXA) はセンチネル・アジアや国際災害チャータ等の緊急観測要請に基づき、2015年4月26日16時2分頃(日本標準時)に陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2) 搭載のLバンド合成開口レーダ (PALSAR-2;パルサー2) による観測を行いました。

図1は今回のPALSAR-2観測画像(高分解能モード;分解能3m;HH偏波)の一部を拡大したもので、代表的なトレッキング・登山ルートの一つであるランタン国立公園のランタン村周辺をとらえたものです。画像の明るさはPALSAR-2から照射されたマイクロ波が地表面で反射・散乱したのち、アンテナ方向に戻る強度(後方散乱強度)を示します。地震前後のPALSAR-2画像の比較から、雪崩または地すべりのような大規模な崩落が河床を覆っていることを示唆する様子が確認されました。

図1: 地震発生後のPALSAR-2画像(2015/4/26,背景は「だいち」画像)

図1: 地震発生後のPALSAR-2画像(2015/4/26,背景は「だいち」画像)(クリックで拡大画像へ)

図2は比較のため、地震発生前2014年12月28日に同モードで観測された画像の一部を拡大したものです。図1と地表面の様子が大きく異なることが分かります。

図2: 地震発生前のPALSAR-2画像(2014/12/28,背景は「だいち」画像)

図2: 地震発生前のPALSAR-2画像(2014/12/28,背景は「だいち」画像)(クリックで拡大画像へ)

図3は、同地点を2008年10月12日に「だいち」(ALOS)搭載の光学センサ(PRISM, AVNIR-2)が取得した可視画像を高精細化(パンシャープン処理)したものです。図2の明るい点群は家屋に相当し、溝状の地形は河道と対応していることが分かります。これらは図1の画像では暗くなっていることから、ピンクで示す範囲が崩落の範囲と考えられます。

図3: 地震発生前のPRISM/AVNIR-2画像(2008/10/12)

図3: 地震発生前のPRISM/AVNIR-2画像(2008/10/12)(クリックで拡大画像へ)

図4は図3で示したPRISM/AVNIR-2パンシャープン画像をPRISMによるデジタル標高データ(DSM)に重ねた鳥瞰図です。埋没部分はU字谷の下部に位置し、直上の急峻な斜面の上には氷河が存在しています。今回の地震によって何らかの大規模な崩落が誘発された可能性が示唆されます。

図4: 地震発生前のPRISM/AVNIR-2による鳥瞰図(2008/10/12)

図4: 地震発生前のPRISM/AVNIR-2による鳥瞰図(2008/10/12)(クリックで拡大画像へ)

今回の「だいち2号」緊急観測によって最初に得られた画像(図1)から、幅約1500m・長さ約700mにわたり崩落範囲と推定することができました。JAXAでは今後も関係機関と協力し、ネパールの観測を継続する予定です。観測データを関係機関に提供するとともに、画像解析結果等は随時本Webサイトで公開する予定です。

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