防災・災害

「だいち2号」による口永良部島噴火の観測結果

(2015年6月2日更新)

概要

  • 「だいち2号」搭載PALSAR-2(パルサー2)により2015年5月29日、6月1日に口永良部島の観測を実施した。
  • 噴火によると見られる火口の地形の変化が認められた。
  • 火口の周辺部でも、降灰や火砕流などによる地表の状態の変化が見られる。

5月29日午前10時頃(日本時間、以下同じ)に爆発的な噴火が発生した口永良部島新岳について、JAXAは、内閣府、気象庁、国交省九州地整等政府関係機関からの要請により、同日12時54分頃に「だいち2号」(ALOS-2)による緊急観測を行い、データを提供しました。

JAXAは内閣府との協定に基づき、日本国内で災害が発生した場合、災害状況の把握を目的として「だいち2号」の観測データを防災関係機関に提供する取り決めを結んでおり、今回の緊急観測もそれに基づいて行われました。

なお、防災関係機関へのデータの提供に併せて、JAXA地球観測研究センターでも独自に、パルサー2の観測結果をもとに噴火の様子について解析を行いました。

図1に今回の観測範囲を示します。

図1:今回の観測領域(口永良部島)

図1:今回の観測領域(口永良部島)

過去に観測されたデータと同一のモードで観測する観点から、口永良部島の東端約600mは今回の観測では観測範囲外となっています。

図2に今回2015年5月29日に観測された口永良部島の全体像を示します。使用した観測モードは高分解能3mモード(1偏波)、オフナディア角(衛星直下と観測方向のなす角)は約29.1度です。

図2:今回観測された口永良部島の全体像

図2:今回観測された口永良部島の全体像(クリックで拡大画像へ)

図3は、図2赤枠の新岳周辺を拡大したものです。比較のために2014年11月14日に観測された画像を右に並べています。噴火によると見られる火口の地形の変化があることが分かります(図中矢印)。

図3:口永良部島の噴火前後のPALSAR-2画像の比較(クリックで拡大画像へ)
図3:口永良部島の噴火前後のPALSAR-2画像の比較
図3:口永良部島の噴火前後のPALSAR-2画像の比較

図4は、噴火前の観測画像を紫色、噴火後の観測画像を緑色にして重ね合わせたカラー合成画像で、噴火後に画像が暗くなった部分が紫色、明るくなった部分が緑色で示されます。火口の近傍では、火口の形状が変化したためと見られる局所的な色の変化が見られます。また、火口の周囲のやや広い範囲(図中の白い円内)でも色の変化が見られ、降灰や火砕流などによる地表の状態の変化と見られます。本画像をGoogle Earth上で表示するためのファイル(KMZファイル)も併せて提供します。

図5: コヒーレンス差解析で得られた、損傷を受けた可能性のある建物や道路を含むエリア

図4:口永良部島の噴火前後のカラー合成画像 噴火前(2014年11月14日)の観測画像を紫色(Red、Blue)、噴火後(2015年5月29日)の観測画像を緑色(Green)に割り当てて、カラー画像として合成したもの。 (クリックで拡大画像へ)

図5は噴火前(2014年11月14日)と噴火後(2015年5月29日)に取得されたデータを用いて、差分干渉解析により地殻変動成分を抽出したものです。図中の白円で囲った新岳周辺では、干渉性が低下し有意な変動量が得られませんでしたが、これは噴火に伴う激しい地形の変形と火砕流を含む噴出物の影響によるものと考えられ、図4で色が変化している領域もここに含まれています。島内の他の部分については大きな地殻変動は見られませんでした。

(2015年6月2日更新)

本画像(2015年5月29日12時54分頃)の観測に続けて、5月29日23時44分頃、6月1日12時19分頃にも観測を行い、それぞれ同様の差分干渉解析を行いました。これらの3つの差分干渉画像をGoogle Earth上で表示するためのファイル(KMZファイル)も併せて提供します。

(本KMZファイルには、5月29日12時54分頃(図5と同じ)、5月29日23時44分頃、6月1日12時19分頃の観測データによる差分解析結果が含まれています)

図5:口永良部島の差分干渉画像

図5:口永良部島の差分干渉画像(クリックで拡大画像へ)

参考

JAXAの火山噴火に対する観測の取り組み

JAXAは気象庁地震火山部との共同研究協定に基づき、火山噴火予知連絡会に設置された「衛星解析WG(火山WG)」により監視・観測体制の充実等が必要な火山と指定された47火山について、だいち2号による定期的な観測を実施しています。また、噴火等の異常時には火山WGからの要請を受け、だいち2号による緊急観測を実施しています。

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