防災・災害

「だいち2号」によるハワイ・キラウェア火山噴火および地震の観測結果について(4)

Posted: Jun. 22, 2018, 9:00 (UTC)

概要

  • ハワイ島キラウェア火山において、2018年5月3日から噴火活動が継続している。
  • JAXAは「だいち2号」による観測を6月以降も継続して行い、ハレマウマウ火口周辺の地殻変動と、レイラニ・エステート周辺の溶岩流の様子を捉えた。
  • データは現地関係機関へ提供しており、夜間あるいは雲や噴煙の下でも地表を観測可能な「だいち2号」の特性を活かし、火山活動の監視に貢献している。

ハワイ島キラウェア火山において、2018年5月3日より継続している噴火活動について、JAXAは国際災害チャーター等からの要請に基づき、「だいち2号」(ALOS-2)搭載の合成開口レーダ「PALSAR-2」により観測を行っています。表1に観測の概要を、図1に観測範囲を示します。

図1: ハワイ島の地形図と観測範囲

図1: ハワイ島の地形図と観測範囲。赤線がSpotlightモード、青線がStripmapモードの観測範囲を表す。

表1:「だいち2号」による観測の概要
観測日(UTC) 軌道番号 観測モード 偏波 観測方向 ビーム番号
2018年6月11日 93 Spotlight HH -
2018年6月13日 85 Spotlight HH -
2018年6月14日 186 Stripmap 10m HH+HV F2_5
2018年6月16日 94 Spotlight HH -
2018年6月19日 89 Stripmap 10m HH+HV F2_6
図2は、2018年4月21日、6月11日、および6月16日にSpotlightモードで観測されたハレマウマウ火口周辺の画像のアニメーションです。これらの画像から、火口およびその周辺が沈降し、火口内の崩壊が進んでいる過程を見ることができます。
図2: ハレマウマウ火口付近の変化アニメーション

図2: ハレマウマウ火口付近の変化アニメーション。(クリックで拡大画像へ)

図3は、Spotlightモードで観測された2018年4月16日と6月11日(表1の①)、2016年2月10日と2018年6月13日(表1の②)の画像ペアをオフセットトラッキング解析した結果から求めたハレマウマウ火口周辺の3次元変動図です。水平変動を矢印で、鉛直変動を色で表しています。火口中心の大きく崩れた箇所(図3の白い部分)を除き、水平方向に最大約9 m、鉛直方向に最大約17 mの沈降が観測されました。また、火口の周りでは火口に向かう水平方向の動きが確認されました。
図3: ハレマウマウ火口周辺の3次元変動

図3: ハレマウマウ火口周辺の3次元変動。矢印が水平変動、色が鉛直変動を表す。(クリックで拡大画像へ)

図4は表1⑤の2018年6月19日の観測データと2018年5月22日のほぼ同時刻の観測データを用いた差分干渉画像です。この画像は衛星視線方向(Illumination)の地表面の変位量を色で表し、この28日間で地表が衛星に近づく方向に動いた場合には青色(寒色系)、衛星から遠ざかる方向に動いた場合は赤色(暖色系)に変化することを意味しています。この解析結果では、レイラニ・エステート(Leilani Estates)の南東部(点線で囲まれた部分)において最大5 cm程度の衛星から遠ざかる変動(沈降もしくは東向き)が見られました。この変動の分布は、マグマが地表に噴出したあとに市街地を流れた分布に似ていることから、溶岩洞の収縮による地表面の沈降を捉えた可能性があります。
図4: 2018年6月19日と2018年5月22日の観測データを用いた差分干渉画像

図4: 2018年6月19日と2018年5月22日の観測データを用いた差分干渉画像。(クリックで拡大画像へ)

図5は、赤色に6月19日のHV偏波、緑色に5月22日のHV偏波、青色に5月22日のHH偏波の強度画像を割りあてたレイラニ・エステート(Leilani Estates)周辺のカラー合成画像で、溶岩流が赤色に見える着色になっています。この画像から、画像左下から中央にかけて溶岩が流れたことがわかります。また画像右側の青い部分(矢印の先)では、マグマが海に流入したことで新たな陸地が形成された様子を捉えています。
図5: 2018年6月19日と2018年5月22日の観測データ

図5: 2018年6月19日と2018年5月22日の観測データを用いたレイラニ・エステート周辺の強度画像のカラー合成。(クリックで拡大画像へ)

JAXAでは今後も「だいち2号」でハワイ島の観測を続けていく予定です。