防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(23)

2011年3月11日14時46分頃、東北地方の太平洋沖で国内観測史上最大となるマグニチュード9.0の大地震が起こりました。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2011年3月12日から行なっている当該地域の継続調査として、3月29日10時30分頃および3月31日10時43分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。

本観測では、今まで確認できていなかった福島県および栃木県の内陸部、また千葉県浦安市の様子を確認することができました。

図1は、2011年3月29日と3月31日に観測した画像を結合したものです。アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雪や雲です。
図1: 今回観測した画像全体
図1: 今回観測した画像全体 (クリックで拡大画像へ) 観測日時: 2011年3月29日10時30分頃、3月31日10時43分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角: 2011年3月29日 1.9°、2011年3月31日 -25.0°

図2から図8はアブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と雲(白色)が明瞭に区別できるため、地表面の様子をとらえることができます。

図2は地震後の2011年3月29日、2011年3月12日および地震前の2008年12月4日に観測された画像から、福島県須賀川市にある藤沼湖周辺を拡大したものです。3月12日の画像中の黄枠で示した箇所で湖が決壊し、湖水が川に沿って下流にある滝地区や長沼地区に流れ込んでいる様子が分かります。また、湖に水があまり残っていないことも分かります。
図2: 福島県須賀川市藤沼湖周辺の様子(約5km×5kmのエリア)
図2: 福島県須賀川市藤沼湖周辺の様子(約5km×5kmのエリア) 左図: 地震後2011年3月29日、中央図: 地震後2011年3月12日、右図: 地震前2008年12月4日 (クリックで拡大画像へ)
図3は地震後の2011年3月29日および地震前の2011年2月27日と2008年12月4日に観測された画像から、福島県白河市岡ノ内地区を拡大したものです。黄枠で示した箇所では土砂崩れで植生が失われたと考えられます。
図3: 福島県白河市岡ノ内地区の様子(約1km×1kmのエリア)
図3: 福島県白河市岡ノ内地区の様子(約1km×1kmのエリア) 左図: 地震後2011年3月29日、中央図:地震前2011年2月27日、右図: 地震前2008年12月4日
図4は地震後の2011年3月29日および地震前の2011年2月27日と2008年12月4日に観測された画像から、福島県白河市付近を拡大したものです。黄枠で示した箇所では土砂崩れで植生が失われたと考えられます。葉ノ木平地区では建物が土砂に覆われている様子が分かりました。
図4: 福島県白河市付近の様子 (約6km×6kmのエリア)
図4: 福島県白河市付近の様子 (約6km×6kmのエリア) 左図: 地震後2011年3月29日、中央図:地震前2011年2月27日、右図: 地震前2008年12月4日 (クリックで拡大画像へ)
図5は地震後の2011年3月29日および地震前の2011年2月27日と2008年12月4日に観測された画像から、栃木県那珂川町押野地区付近を拡大したものです。黄枠で示した箇所では土砂崩れで植生が失われ、さらに北側にある建物に土砂が迫っている様子が分かります。
図5: 栃木県那珂川町押野地区付近の様子(約1km×1kmのエリア)
図5: 栃木県那珂川町押野地区付近の様子(約1km×1kmのエリア) 左図: 地震後2011年3月29日、中央図:地震前2011年2月27日、右図: 地震前2008年12月4日
図6は地震後の2011年3月29日および地震前の2011年2月27日と2008年12月4日に観測された画像から、栃木県那須烏山市阿久津地区付近を拡大したものです。黄枠で示した箇所では土砂崩れで植生が失われたと考えられます。
図6: 栃木県那須烏山市阿久津地区付近の様子(約1km×1kmのエリア)
図6: 栃木県那須烏山市阿久津地区付近の様子(約1km×1kmのエリア) 左図: 地震後2011年3月29日、中央図:地震前2011年2月27日、右図: 地震前2008年12月4日
図7は地震後の2011年3月29日および地震前の2011年2月27日と2008年12月4日に観測された画像から、栃木県那須烏山市川西地区付近を拡大したものです。黄枠で示した箇所は土砂崩れにより植生が失われており、さらに東側にある建物にも土砂が流れ込んでいる様子が分かります。
図7: 栃木県那須烏山市川西地区付近の様子(約1km×1kmのエリア)
図7: 栃木県那須烏山市川西地区付近の様子(約1km×1kmのエリア) 左図: 地震後2011年3月29日、中央図:地震前2011年2月27日、右図: 地震前2008年12月4日
図8は地震後の2011年3月31日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から、千葉県浦安市付近を拡大したものです。黄枠で示した箇所では明るい灰色に変化している様子がわかります。これらは液状化により地中の水分を含んだ砂などが地表を覆っていると考えられます。
図8: 千葉県浦安市の様子(約7km×7kmのエリア)
図8: 千葉県浦安市の様子(約7km×7kmのエリア) 左図: 地震後2011年3月31日、右図: 地震前2011年2月23日 (クリックで拡大画像へ)

取得された画像は、内閣府を始めとする防災関係省庁、地方自治体等に提供しています。

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、衛星進行方向に対して東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。2011年4月5日の画像は西側に9度で取得しました。

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