防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるパキスタン集中豪雨被害の観測結果(8)

2010年7月下旬から発生した記録的な大雨により、中央アジアのパキスタン国内において大規模な洪水が発生しています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2010年8月から実施の継続調査として、9月11日15時14分頃および9月13日14時56分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*により現地の観測を実施しました。パキスタン南部の冠水被害は、未だ継続していることが確認できます。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。
西側拡大画像
東側拡大画像
図1:今回観測した画像全体
図1:今回観測した画像全体 (クリックで拡大画像へ) 観測日時: 西側2010年9月11日15時14分頃(日本時間) 東側2010年9月13日14時56分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角: それぞれ0° 黄色枠: 図2~4の範囲
図2および図3は災害後の2010年9月11日と災害前の2009年9月8日に観測された画像から、市街地が浸水していると思われる箇所を拡大したものです。なお、図2はJacobabadから北西約13kmにあるDera Allah Yar付近、図3は南西約84kmにあるQubba Saida Khan付近です。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と浸水域(水色)が明瞭に区別できます。災害前後の画像を比較すると、市街地が非常に広範囲に渡って浸水している様子を確認できます。
図2: Dera Allah Yarの浸水の様子(約5km×5kmのエリア)
図2: Dera Allah Yarの浸水の様子(約5km×5kmのエリア) 左:災害後(2010年9月11日)、右:災害前(2009年9月8日) (クリックで拡大画像へ)
図3: Qubba Saida Khanの浸水の様子(約5km×5kmのエリア)
図3: Qubba Saida Khanの浸水の様子(約5km×5kmのエリア) 左:災害後(2010年9月11日)、右:災害前(2009年9月8日) (クリックで拡大画像へ)

図4は災害後の2010年9月13日と災害前の2009年10月26日に観測された画像から、河川が増水して農地が冠水している箇所を拡大したものです。なお、図4はKot Hara付近のChenab川です。図2、3と同様にアブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しています。

図4では黄色枠で囲った橋が冠水し、川幅が広がっているように見えます。
図4: Kot Hara付近のChenab川増水の様子(約5km×5kmのエリア)
図4: Kot Hara付近のChenab川増水の様子(約5km×5kmのエリア) 左:災害後(2010年9月13日)、右:災害前(2009年10月26日) (クリックで拡大画像へ)

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。なお2009年9月8日、10月26日、2010年9月11日、9月13日の画像は、それぞれ0度で取得しました。

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