防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるパキスタン集中豪雨被害の緊急観測結果(5)

中央アジアのパキスタン北部において、2010年7月29日から起きた集中豪雨により洪水などの被害が発生しました。洪水被害はパキスタン北部から南部に広がり、橋や道路が倒壊し陸路が遮断されているとの報道もあります。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2010年8月3日、8月5日、8月6日、8月15日に緊急観測を行った地域の継続調査として、8月23日15時29分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*により現地の観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。画像南側を除いて、あまり雲がない画像を取得することができました。河川の大規模な増水や農耕地が広範囲に渡って冠水している様子を確認することができました。
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図1:今回観測した画像全体
図1:今回観測した画像全体 観測日時: 2010年8月23日15時29分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: 31.2° 黄色枠: 図2、図3の範囲

図2は、サッカル付近(首都イスラマバードから南南西約700km)において、災害後の2010年8月23日および災害前の2010年3月23日と2010年4月9日に観測された画像を結合したものから、冠水している箇所を拡大した画像です。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と冠水域(水色)が明瞭に区別できます。

図3は、ハイダラーバード付近(首都イスラマバードから南南西約1200km)において、災害後の2010年8月23日および災害前の2010年3月23日に観測された画像から、冠水している箇所を拡大したものです。

災害前後の画像を比較すると、インダス川上流から下流にかけて非常に広範囲に冠水している様子がわかります。
図2: サッカル付近の河川増水の様子(約60km×60kmのエリア) 左図:災害後(2010年8月23日)、右図:災害前(左側:2010年4月9日、右側:2010年3月23日の結合画像)
図3: ハイダラーバード付近の河川増水の様子(約30km×30kmのエリア) 左図:災害後(2010年8月23日)、右図:災害前(2010年3月23日)
また、災害後の2010年8月23日画像と災害前の画像から冠水域を算出したところ、約7,000km2の領域が未だ冠水していることが分かりました。これは、東京都の約3倍の面積になります。

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は東側から31.2度で取得しました。2010年3月23日および2010年4月9日の画像の画像は0度で取得しました。

©JAXA EORC