防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるパキスタン集中豪雨被害の観測結果(4)

中央アジアのパキスタン北部において、2010年7月29日から継続的に発生している集中豪雨により洪水などの被害が発生しています。洪水被害はパキスタン北部から南部に広がり、橋や道路が倒壊し陸路が遮断されているとの報道もあります。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2010年8月6日に緊急観測を行った地域の継続調査として、2010年8月15日14時46分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雲ですが、雲の隙間から河川の増水や農耕地が冠水している様子を確認することができました。
図1:今回観測した画像全体
図1:今回観測した画像全体 観測日時: 2010年8月15日14時46分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: 0° 黄色枠: 図2、図3の範囲
図2は災害後の2010年8月15日、2010年8月6日および災害前の2009年10月14日に観測された画像から冠水している箇所を拡大したもので、Alhara Hazar(首都イスラマバードから南南西約260km)付近です。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と冠水域(明るい灰色)が明瞭に区別できます。災害後の2010年8月15日と2010年8月6日に観測された画像を比較すると、黄枠で示したところは冠水している範囲がさらに拡大している様子がわかります。
図2: Alhara Hazari付近の河川増水の様子(それぞれ約18km×18kmのエリア)
図2: Alhara Hazari付近の河川増水の様子(それぞれ約18km×18kmのエリア) 左図:災害後(2010年8月15日)、中央図:災害後(2010年8月6日)、右図:災害前(2009年10月14日)
図3は図2より約20km上流のChund Bharwana付近(首都イスラマバードから南南西約240km)において、災害後の2010年8月15日および災害前の2009年10月14日に観測された画像から、冠水している箇所を拡大したものです。2010年8月6日の観測では雲に隠れて地表の様子がわかりませんでしたが、8月15日の観測では増水した河川が氾濫し、農耕地が広範囲に浸水している様子を確認できます。
図3: Chund Bharwana付近の河川増水の様子(それぞれ約18km×18kmのエリア、黄色枠: 図4の範囲) 左図:災害後(2010年8月15日)、右図:災害前(2009年10月14日)
図4は図3の橋梁を中心に拡大した画像です。災害前後の画像を比較すると、災害後には橋梁の輪郭が不明瞭になっていることから、増水により橋が冠水しているように見えます。
図4: 図3の橋梁付近を拡大した様子(約3km×3kmのエリア)
図4: 図3の橋梁付近を拡大した様子(約3km×3kmのエリア) 左図:災害後(2010年8月15日)、右図:災害前(2009年10月14日)

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は0度で取得しました。2010年8月6日の画像は東に38度、2009年10月14日の画像は0度で取得しました。

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