防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるパキスタン集中豪雨の緊急観測結果(2)

中央アジアのパキスタン北西部において、2010年7月29日から起きた豪雨のため、洪水や土砂崩れなどが発生し甚大な被害が出ています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年8月3日に引き続き8月5日14時44分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したものです。アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており、人の目で見た色に近くなっています。8月3日の観測画像と異なり、パキスタン北西部のパンジャブ州アットク地区カムラおよびカイバル・パクトゥンクワ州ノウシェラ地区の被災地を確認することができました。
図1:今回観測した画像全体
図1:今回観測した画像全体 観測日時: 2010年8月5日14時44分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: -28° 黄色枠: 図2、図4の範囲
図2は、パンジャブ州アットク地区カムラの河川流域を拡大したものです。図3は、図2の黄色枠をさらに拡大したものです。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、水域が青く見えるため河川の増水を明確にとらえることができます。図2の災害前後の画像を比較すると、川幅が大きく広がり、広大な範囲に渡って冠水しているのがわかります。図3では黄色枠で示した付近で大きく冠水しているのがわかります。
図2: パンジャブ州アットク地区カムラの河川増水の様子(それぞれ約18km×18kmのエリア)
図2: パンジャブ州アットク地区カムラの河川増水の様子(それぞれ約18km×18kmのエリア) 左図:災害発生後(2010年8月5日)、右図:災害発生前(2010年6月18日)
図3: アットク地区カムラの河川増水の様子(それぞれ約6km×6kmのエリア)
図3: アットク地区カムラの河川増水の様子(それぞれ約6km×6kmのエリア) 左図:災害発生後(2010年8月5日)、右図:災害発生前(2010年6月18日)
図4は、カイバル・パクトゥンクワ州ノウシェラ地区の河川流域を拡大したものです。図5は、図4の黄色枠をさらに拡大したものです。図4の災害前後の画像を比較すると、川幅が広がり、広大な範囲に渡って冠水しているのがわかります。図5では黄色枠で示した付近で河川が氾濫し、異なる流路が出来ているのがわかります。今後豪雨が続くようであれば、浸水被害が拡大するおそれがあります。
図4: カイバル・パクトゥンクワ州ノウシェラ地区の河川増水の様子(それぞれ約18km×18kmのエリア)
図4: カイバル・パクトゥンクワ州ノウシェラ地区の河川増水の様子(それぞれ約18km×18kmのエリア) 左図:災害発生後(2010年8月5日)、右図:災害発生前(2010年6月18日)
図5: ノウシェラ地区の河川増水の様子(それぞれ約6km×6kmのエリア)
図5: ノウシェラ地区の河川増水の様子(それぞれ約6km×6kmのエリア) 左図:災害発生後(2010年8月5日)、右図:災害発生前(2010年6月18日)

JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

なお、取得された画像はセンチネルアジアを通じて国際総合山岳開発センター(ICIMOD)へ提供しました。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は東側から28度で取得しました。

©JAXA EORC