防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による霧島山(新燃岳)噴火における緊急観測結果(9)

2011年1月19日午前1時27分頃に、霧島山(新燃岳)にて小規模な噴火が発生しました。その後は大きな空気振動を伴う爆発的噴火が断続的に起こっています。宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)では新燃岳を継続して観測しています。今回、2月19日午前11時4分頃に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のパンクロマチック立体視センサ(プリズム)*1と高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*2により現地の観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。
図1: 今回観測した画像全体
図1: 今回観測した画像全体 (クリックで拡大画像へ) 観測日時: 2011年2月19日11時4分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角: 0° 黄色枠:図2、図3の範囲
図2は噴火後の2011年2月19日と噴火前の2008年11月13日に観測されたプリズムとアブニール・ツーから作成されたパンシャープン画像*3で、新燃岳の火口を拡大したものです。噴火後の画像では火口に溶岩が溜まっている様子が分かります。
図2: 新燃岳の火口の様子(約1.5km×1.5kmのエリア)
図2: 新燃岳の火口の様子(約1.5km×1.5kmのエリア) 左:噴火後(2011年2月19日)、右: 噴火前(2008年11月13日) (クリックで拡大画像へ)
図3は新燃岳に近い都城市北西部の拡大図です。黄色い枠内を見ると農耕地が複数の区画にまたがって一様に灰色となっており、火山灰が積もっていると推測されます。
図3: 都城市北西部の様子(約2km×2kmのエリア)
図3: 都城市北西部の様子(約2km×2kmのエリア) 左:噴火後(2011年2月19日)、右: 噴火前(2008年11月13日) (クリックで拡大画像へ)
図4、図5は2月19日に観測されたプリズム2方向視観測画像から作成した標高(地形)データ(数値地表モデル, DSM)に、同日観測されたパンシャープン画像を重ね合わせて作成した新燃岳付近の鳥瞰図です。溶岩ドームの隆起により、溶岩ドームの高さと火口縁の最も低い場所がほぼ同高度になっていることが分かりました。また、新燃岳付近の山肌が白っぽくなっており、降灰している様子を立体的に確認できます。
図4: プリズムとアブニール・ツーによる鳥瞰図
図4: プリズムとアブニール・ツーによる鳥瞰図 南西方向から見た新燃岳付近 標高データ(DSM)、パンシャープン画像:2011年2月19日 (クリックで拡大画像へ)
図5: プリズムとアブニール・ツーによる鳥瞰図
図5: プリズムとアブニール・ツーによる鳥瞰図 東方向から見た新燃岳付近 標高データ(DSM)、パンシャープン画像:2011年2月19日 (クリックで拡大画像へ)

取得された画像は、内閣府、気象庁、国土技術政策総合研究所、土木研究所に提供しました。

JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 パンクロマチック立体視センサ(プリズム):

「だいち」進行方法に対して真下(直下視)と斜め下(前方視、後方視)の画像をほぼ同時に取得することができる光学センサで、衛星直下で地上2.5mのものが識別できる能力(地上分解能)を有しています。

*2 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、衛星進行方向に対して東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。なお、噴火後の2011年2月19日、噴火前の2008年11月13日の画像とも0度で取得しました。

*3 プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像

プリズムとアブニール・ツーによるパンシャープン画像とは、2.5mのものが識別できる能力(地上分解能)を持つプリズムと、地上分解能10mですがカラー情報を持つアブニール・ツーを用いて、擬似的に地上分解能2.5mのカラー画像にしたものです。

©JAXA EORC