防災・災害

PALSARによるミャンマー・サイクロン洪水観測(2)

平成20年5月にミャンマーを襲った大型サイクロン「ナルギス」による洪水の被害状況について、JAXAは「だいち」による観測を行ないました。

図1左下は「だいち」搭載のパルサー(PALSAR)のScanSARモードでミャンマーのヤンゴンを含む領域(図4)を観測した災害前の平成20年4月19日の画像、図1右下は同じくScanSARモードで観測した災害後の平成20年6月4日の画像です。PALSARによる画像では、水面は暗く見える特徴があり、災害後の画像(右下図)では広い領域に渡って洪水(暗い領域)が広がっていることが分かります。一方で、この地域では乾季と雨季の季節サイクルとして毎年洪水域が生じます。図1上の2つの画像は平成19年の4月と6月に観測された画像です。今年の変化と同様に、4月と比べて6月(右上図)の画像には暗い領域が広がっており、浸水域であると考えられます。
図1: ミャンマーの「だいち」PALSARによる観測画像(クリックで拡大画像へ)
  • 図1: ミャンマーの「だいち」PALSARによる観測画像
    平成19年4月17日
  • 図1: ミャンマーの「だいち」PALSARによる観測画像
    平成19年6月2日
  • 図1: ミャンマーの「だいち」PALSARによる観測画像
    平成20年4月19日
  • 図1: ミャンマーの「だいち」PALSARによる観測画像
    平成20年6月4日観測(洪水後)

それぞれの時期の変化を抽出するためにカラー合成画像を作成しました。図2左は平成20年4月19日の画像を青に、平成20年6月4日の画像を赤、緑に割り当て作成した合成画像です。青く浮き出ている地域が浸水した領域を表しています。おおよそ2ヶ月の間に海岸から20km-100km程度の内陸まで、広大な領域が浸水している様子が捉えられています。同様の現象は平成19年の画像からも確認できました。ここでは、平成19年と平成20年の違いを調べるために、平成19年6月2日の画像を青に、平成20年6月4日の画像を赤、緑に割り当てて合成画像を作成しました(図2右)。イラワジ川の河口域を中心に青く浮き出ている領域が確認できます。このように、多時期の観測データを使用することで、平成20年5-6月は平成19年の同時期に比べて浸水域が広がっていることが確かめられました。

図2: カラー合成画像(クリックで拡大画像へ)
図2: カラー合成画像
平成20年4月19日と平成20年6月4日の差
図2: カラー合成画像
平成19年6月2日と平成20年6月4日の差
PALSARでは洪水発生直後の平成20年5月6日に高分解モードでイラワジ川河口域付近の観測を行っています(関連記事:PALSARによるミャンマー・サイクロン洪水観測)。6月4日観測のデータと比較することで洪水後約1ヶ月間の浸水域の変化を推定することが可能となります。6月4日観測の画像を赤、緑、5月6日観測の画像を青に割り当ててカラー合成画像を作成しました(図3)。イラワジ川河口付近を中心とした黄色で浮き出ている多くの領域では浸水域が減少していると推測されます。一方で、新たに浸水域となったと考えられる青く浮き出ている領域も存在します。
図3: カラー合成画像(平成20年5月6日と平成20年6月4日の差)
図3: カラー合成画像(平成20年5月6日と平成20年6月4日の差)(クリックで拡大画像へ)
図4: 観測場所の位置
図4: 観測場所の位置
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