防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震の緊急観測結果について(5)

2008年6月14日 午前8時43分(日本時間、以下同じ)頃、岩手県内陸部(深さ8km、M 7.2)を震源とする地震が発生しました。宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)では7月2日に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のAVNIR-2(アブニール・ツー;観測幅70km、分解能10mで観測)およびPRISM(プリズム;観測幅35km、分解能2.5m)により現地の緊急観測を実施しました。

図1: 今回取得した画像全体と位置関係 取得日:2008年7月2日10時27分頃、センサ:AVNIR-2(アブニール・ツー) 水色枠(四角):鳥瞰図(図2)の範囲範囲、黄色枠:図3~7の範囲 水色枠(丸):図8(栗原市立築館中学校) (右画像クリックで拡大画像へ)

図1: 今回取得した画像全体と位置関係
図1: 今回取得した画像全体と位置関係

図2は宮城県栗原市の荒砥沢ダム北側の土砂崩れをダム北側から眺めた様子です。画像手前側の幅は約1.5kmですが、土砂崩れの規模がいかに大きいかがわかります。また、ダム北側の沢でも斜面が大きく崩れており、それにより川の水が堰き止められて溜まっていることがわかります。震央からこの付近までは約15kmです。

*1 PRISMとAVNIR-2によるパンシャープン画像とは、2.5mのものが識別できる能力(地上分解能)を持つPRISM画像と、10mの地上分解能を有するAVNIR-2を用いて、擬似的に2.5m地上分解能のカラー画像にしたものです。

*2 鳥瞰図作成には国土地理院発行、数値地図50mメッシュ(標高)を用いています。
図2: 荒砥沢ダム北側の土砂崩れ

図2: 荒砥沢ダム北側の土砂崩れ (クリックで拡大画像へ)

(PRISM/AVNIR-2パンシャープン画像(*1)による鳥瞰図(*2)。荒砥沢ダム北側からの眺望)
図3は荒砥沢ダム付近の災害前後の画像です。同じ地域を約6km四方で切り出しています。図2の鳥瞰図とほぼ同じ地域ですが、鳥瞰図の範囲には含まれなかったダム北西の冷沢でも広範囲に崩れているところがわかります。
図3: 荒砥沢ダム付近(左: 被災後、右: 被災前)
図3: 荒砥沢ダム付近(左: 被災後、右: 被災前)
図4は一迫川上流地域付近の災害前後の画像です。同じ地域を約6km四方で切り出しています。いたるところで土砂による堰止湖が形成されているのがわかります。
図4: 一迫川上流地域付近(左: 被災後、右: 被災前)
図4: 一迫川上流地域付近(左: 被災後、右: 被災前)
図5は東栗駒山東斜面の災害前後の画像です。同じ地域を約6km四方で切り出しています。東斜面にあるドゾウ沢の土砂崩れや、県道42号線が土砂で覆われている様子がわかります。
図5: 東栗駒山東斜面付近(左: 被災後、右: 被災前)
図5: 東栗駒山東斜面付近(左: 被災後、右: 被災前)
図6は真湯温泉付近の災害前後の画像です。同じ地域を約6km四方で切り出しています。土砂により鬼越沢川が堰き止められ川幅が広がっている様子がわかります。
図6: 真湯温泉付近(左: 被災後、右: 被災前)
図6: 真湯温泉付近(左: 被災後、右: 被災前)
図7は磐井川流域の災害前後の画像です。同じ地域を約6km四方で切り出しています。いたるところで土砂による堰止湖が形成されているのがわかります。
図7: 磐井川流域(左: 被災後、右: 被災前)
図7: 磐井川流域(左: 被災後、右: 被災前)
図8は宮城県栗原市立築館中学校の校庭を観測した画像です。生徒たちが支援活動で上空を飛ぶヘリコプターに向けて感謝の気持ちを伝えるために校庭に描いた、「ありがとう」の文字を確認することができました。

PRISM/AVNIR-2によるパンシャープン画像

PRISM/AVNIR-2によるパンシャープン画像

図8: 宮城県栗原市立築館中学校の校庭に描かれた「ありがとう」

図8: 宮城県栗原市立築館中学校の校庭に描かれた「ありがとう」

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測し、随時発表する予定です。

©JAXA EORC