防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)によるインドネシア東部・ニューギニア島地震に関する観測結果について(1)

平成21年1月4日(日本時間、以下同じ)にインドネシア東部・ニューギニア島で発生したマグニチュード7.6(図中赤い星印、震央1)と7.4(図中青い星印、震央2)(地震の場所、規模はUSGS発表)の二つの地震による被害状況を把握するために、宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)は、平成21年1月14日に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による現地の観測を実施しました。本観測では、平成20年10月14日に取得した同じ軌道からの画像を使用し、差分干渉処理による地殻変動状況の把握と、強度画像の比較解析による地すべりの抽出を実施しました。なお解析の際、軌道情報には高精度軌道情報を用いました。「だいち」は南から北へ飛行しながら、震央1付近の領域を観測しました 。

1. 地殻変動検出

図1左: PALSAR差分干渉画像
図1左: PALSAR差分干渉画像 (クリックで拡大画像へ)
右: 地震後PALSAR強度画像
右: 地震後PALSAR強度画像 (クリックで拡大画像へ)

図1左は地震前と地震後の画像を比較した差分干渉画像、図1右は南北約700kmに渡る地震後のPALSAR画像を示したものです。図2は図1左の震央1付近を拡大したものです。図2から震央1の南西に目玉状の干渉縞が確認でき、目玉の中心に向かって少なくとも3周期=35.4cmの衛星から遠ざかる向きの地殻変動があったことがわかります。これは地震時の断層運動に伴う北東方向への水平変動、もしくは沈降を示していると考えられます。また震央1からおよそ100km南と300km南にも干渉縞が見られますが、これらは気象などによる影響(誤差)と思われ、地震時の地殻変動を表したものではないと思われます。今回の「だいち」による観測から、本地震に伴って広い範囲に渡る地殻変動が生じたことが確認できました。

(注1) 震央の西側では青→紫→赤→黄→緑→青の色の変化(青の領域から青の領域まで、ここまでで1周期=11.8cm。この順番の色の変化は衛星から遠ざかる変動を表わします。)が3周期確認されるため11.8cm×3=35.4cmの変動と推定されます。
図2: 拡大図(図1左中赤枠)
図2: 拡大図(図1左中赤枠) (クリックで拡大画像へ)
図3: 全体図(海底地形はETOPO2、数値標高データはSRTM3、プレート境界はPB2002を参照しました。)
図3: 全体図(海底地形はETOPO2、数値標高データはSRTM3、プレート境界はPB2002を参照しました。) (クリックで拡大画像へ)

2. 地滑り検出

平成21年1月5日に「だいち」搭載の高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2:アブニール・ツー)にて撮影された画像の中で確認された地滑りとみられる箇所を平成21年1月14日「だいち」搭載のPALSARで観測しました。
図4左は平成21年1月14日(地震後)、図4右は平成20年10月14日(地震前)にPALSARで観測した強度画像で、それぞれアブニール・ツーの画像と同じ範囲(約6km x 5km) を切り出しています。図4左(地震後)の赤枠で囲まれた部分は幅約750m、長さ約2500mの大規模な地滑りとみられる箇所で、また白枠で囲まれた二箇所も地滑りとみられる変化が確認され、それぞれアブニール・ツーの画像ともよく一致します。図5は地震前後のPALSAR強度画像(図4左右図)をアニメーション合成した結果で、地滑りと思われる変化がよく確認できます。 (注1) 震央の西側では青→紫→赤→黄→緑→青の色の変化(青の領域から青の領域まで、ここまでで1周期=11.8cm。この順番の色の変化は衛星から遠ざかる変動を表わします。)が3周期確認されるため11.8cm×3=35.4cmの変動と推定されます。
図4左: PALSAR強度画像(地震後)、図4右: PALSAR強度画像(地震前)
図4左: PALSAR強度画像(地震後)、図4右: PALSAR強度画像(地震前) (クリックで拡大画像へ)
図5: PALSAR強度画像(地震前後のアニメーション合成)
図5: PALSAR強度画像(地震前後のアニメーション合成)

JAXAでは今後も「だいち」によるインドネシア東部・ニューギニア島地震被災地の観測を継続していく予定です。

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